篠田真由美お仕事日誌

2017.07.12

 寝足りない翌日は眠れる。寝だめはできないというが、不足分の後払いは可能だってことなんだろうか。

 今朝仕事場に来たら、ゴーヤの蔓をからめていたネットが切れて垂れ下がっている。実った実が大きくなりすぎて、その重みでやっちゃったらしい。もともと予定していた取り入れの他に、ひとつ傷ついた実も収穫。しかしそんなことをやっているだけで、汗掻いてどろどろ。自分汗かきなんで。
 このまま仕事場にいたら暑くてなにもしなさそうなので、ノーパソ担いで図書館へ。なんのことはない、エアコンの電気代節約であります。まあそれだけでなく、手元のマンガとか見ないようにするには、図書館の学習室がよろしいもので。

 キングは『ダーク・ハーフ』の下巻を読了。ドッペルゲンガーものなら、主人公は悪の分身と戦って結局相打ちになるパターンだろうと思っていたのが、今回はちょいとばかり定石外しでした。スズメを持ってきたのが面白い。『書くことについて』は、アメリカと作家事情の違いが大きくて、参考にはなりがたい。初稿を書き上げたら六ヶ月放置してから読み直す、なんて、余裕があってうらやましいな〜

 萩尾望都の『ポーの一族』の新刊が出た。面白かったけど、かつてのそれとは別の話。エンタメ性が強くなって、これはこれで面白いんだけど、吸血鬼ではなくてオド(精気)ヴァンピリズム。

Sherlock/S4E1 感想

 まず、シナリオの練りが甘いと思う。ばらばらのエピソードが詰め込まれていて、その中には面白いところもあれこれあるのだが、主筋にうまく繋がっていない。主筋とはなにかといえば、メアリの死に至る物語であります。

 生還してハイなシャロ。ここで真犯人の描写がある。これは必要。目くらましとしてのお馬鹿シャロはまあいいだろう。ロージー誕生に至るドタバタから育児の苦労、3人での探偵行はホームドラマ調で、以前のシリーズを愛する人には噴飯物かもしれないが、メアリの死が先で予定されていりゃこその、嵐の前の静けさ的ほのぼのだろうから、自分はそんなに腹は立たなかった。ただ、せっかくワンコを出しての3人捜査も空振りで、うまくリンクしていないから冗長に感ずる。
 こう、いろんな枝葉が「関係ないのかな」と思わせておいて、後できれいに繋がってくるというのがやはりドラマ作りの王道でしょ。正典の「六つのナポレオン」を変奏して「六つのサッチャー」ですよ、でもこれはニセの手がかりですよ、正典の鼻の利くワンコを出してきてみた、でもあっちでも失敗したからやっぱり役立たず、はい、このエピソードもこれだけです、というんじゃ、そりゃたるいだけだわ。
 実は事故でした、という肩すかしの事件からサッチャー像破壊事件へ。シャロとAjのアクションシーンも確かに冗長。だがもっと「なにこれ」なのは、メアリの逃避行のエピソード。そもそも彼女はなんで逃げたのか。ジョンとロージーに危険を及ぼさないため。だったらAjには自分を追わせないとダメじゃん。ずっと逃げてるわけにゃいかないんだし。そしてシャロとジョンは発信器で彼女を追い、Ajはシャロを追ってきた。メアリ、逃げた意味ゼロ。シャロどじ。ダメダメじゃん、ふたりとも。

 自分案なら、4人組にはなにかあったときの秘密の集合場所があって、メアリはそこへ向かった。6年前もそこでしばらく身を潜めていたけど、誰も来なかったので自分ひとりが生き残ったと考えるしかなかったのだね。で、そこで再会するメアリとAj。メアリは誤解を解こうと必死になるが無理。そこへ駆けつけるシャロ・ジョン。メアリを苦しめるためにジョンを撃とうとするAj。メアリはジョンを守るために自分の手でAjを射殺する。そして、裏切り者がイギリス政府内にいる可能性が高いから、自分はロンドンには戻らないというメアリを、シャロが「君はぼくが守る」と説得する。ジョンの態度は曖昧。というのは、メアリの殺し屋のスキルのすさまじさに改めて退いてしまっていたからだ。

 ジョンの精神的浮気のエピソードは、不自然ではないと思うのだよ。別に嬉しい展開ではないけど、彼のメアリに対するわだかまりが完全に解けたわけではないとして、それに育児疲れやシャロのメアリびいきが加われば、「なんかやんなっちゃったな」的なやさぐれ感が、女の子にアプローチされて「俺もまだ捨てたもんじゃない。ルン」と転がるのもあり得る。そういうジョンが好きですか、といわれればあんまりだけどさ、マーティンは説得力のある演技をしていると思うよ。ただね、結局メアリの逃亡は、Ajを死なせただけで解決にはほど遠く、空しくロンドンに戻ってきて事態はループしているだけなんだね。
 で、水族館の場面。あの至近距離から発射された銃弾を、メアリが飛び出して受けられたらESPだわ、というのは自分も思います。でもその前にシャロがビビアンを追い詰める、乃至は挑発するセリフがある。メアリを守るため敢えてこちらに敵意を向けさせたのかと解釈してみたけど、ドラマを見た印象ではそうは見えなかった。おまけに後でハドソンさんに「ぼくがいい気になっていたらノーブリといってください」というのは、つまりあそこでシャロはいい気になっていたんかい、メアリに止められたのに、なんのプランもなかったんかいと思うと、そんな名探偵なんざ、痛い目みるがいいさといってやりたくなる。そして、それでジョンは「メアリを殺したのはおまえだ」と。
 しかし待てよ。そのときまだジョンはいなかったんで、シャロの挑発セリフは聞いてないはず、となると、この解釈も当てはまらない。なのにメアリが死んだ直後、ビビアンはまだそこにいるのに、直接の下手人はほっておいてジョンがシャロにあれほどの怒りの目を向けるというのが、どうも不自然に思えるですよ。
 あのオーバーな演技は、実のところマーティンらしくない。彼の芝居はもっと細やかです。大事な人の臨終に立ち会うというなら、トーリンを見送ったビルボのそれがある。あの哀切を極めた、しかしひっそりとした悲しみの表現と比べたら、ずいぶん違う。あまりに不自然なシナリオの要求を満たすためには、誇張した演技をするしかなかったんじゃないですかね。

 つまりね、やはりシナリオに問題があると思う。この話は、サマラの死神のようにメアリを過去が追ってきて、逃れようもなく死ぬことになる、その結果、ジョンはシャロを責めてふたりの関係は最悪のところまで落ちる、という結論がまずあって、そこに着地させるために話を作っていったんだと思う。その場合、作者の恣意性が突出しないように、ご都合主義といわれないように、細心の注意がいるんです。でもそれが上手くいってない。理由があったからジョンがシャロを責めるんじゃなく、ジョンがシャロを責めて、シャロは弁明できなくて、ふたりは決裂するという設定が先にあって、無理やりそうさせているだけだから、話に全然説得力が無い。
 メアリの設定や行動はハリウッドのスパイアクション紛い。ジョンの浮気はソープオペラ。そしてメアリがシャロをかばって銃弾を受け、長々と遺言をしてがくっとして死ぬのは安手のドラマのお約束で、あー、ここまで陳腐? としらけました。悲しい。

2017.07.11

 昨日は暑すぎて寝そびれたが、いまのところばったり倒れるほどではないので、主観よりは眠っていたということかも知れない。しかし安眠にはほど遠かった。そして今日もてかてかの晴れ。関東は空梅雨じゃないのかい。

 昨日はSherlock S4E1をようやく視聴。吹き替えは正直違和感が強いのだが(特にマイクロフト)、食事しながら字幕を追うのは面倒なので、副音声にはしませんでした。そして、さて、ここでネタバレ解禁の感想を書いてしまっていいのかな。自分のように録画していて時間が出来た時に見よう、と思っている人も多いかもだし。それにしちゃあこれまでも、ずいぶん吐き出しちゃってるじゃないですか、とセルフ突っ込みしつつ迷う。
 というわけで、さくっと書いた感想を、ブログとは別立てで書きました。S4パスティーシュとしたカテゴリの中に入れていますが、ネタバレ回避の方は見ないようにしてください。あらすじを含めてこちゃこちゃとけなしてあります。私は自分に「腐」の要素が山ほどあるのは承知しているけど、なんでもかんでも、ということはありません。どちらかというと、友情以上恋愛未満、くらいで足踏みしているような関係の方が楽しいです。シャーロックとジョンに恋愛感情があるようには見たくない方です。
 だけど、キャラクターの性格に矛盾があったり、先に立てたプロットありきで、キャラクターがひん曲げられたりするのは一番嫌いです。このシリーズで割を食っているのはなんといってもジョンで、シナリオによって性格が明らかにぶれている。名優マーティンは健闘していますが、これじゃ「もういいや」といいたくなっても無理はない気がします。

 今日は萩尾望都の『ポーの一族』新刊が出るので本屋に。できるだけ日陰を拾って歩いてきたけど、脈拍が上がってる感じ。実は7月から自宅方面へ新しいバイパスが完成して、そこは歩道も完備しているので、一度歩いて帰ろうと思っているんだが、あまりにてかてかしちゃってその元気が出ないんだよ〜

2017.07.10

 昨日は勝ちどきの第一生命ホールに、友人が合唱に参加するコンサートを聴きに行ったのだが、飯能駅で西武池袋線が人身事故のために1時間以上止まっていて、手も足も出ないまま待つしか無く、どっと遅刻することになってしまった。都心と違ってこういうときは、迂回ルートの選択肢が極めて限られているから、まったくどうしようもない。それでもどうにか休憩の前には到着できて、眼目のモーツァルト、レクイエムは全曲落ち着いて聴くことができ、せめてもだった。
 レクイエムは、以前作中に使うために、グレゴリオ聖歌の方をさんざん聴いていたので、モーツァルトを聴くとその劇的表現が「うっひゃあ」という感じになってしまう。キリスト教絵画をたとえにすると、ジョットかピエロ・デ・フランチェスカと、ティツィアーノかティントレットの差というような。「怒りの日」のところとかね。ベタフラッシュ、集中線、透過光入りまくりみたいな。だから、退屈している暇が無い。宗教曲でここまで盛り上げちゃっていいのかな、みたいな感じも少しする。でも「ラクリモサ」はロマンティックで好きだな。

 村上もとか『フイチン再見』が完結したので、上田としこ『フイチンさん』復刻愛蔵版を思い切って購入。上下巻で4800円だから、やはり少し迷います。しかし、この方絵が上手い。線がいきいきしている感じ。そして人物だけでなく、当時(戦前の満州)の、生活のディテール、建物なんかもしっかり書き込まれていて、『フイチン再見』の上田としこの物語が、この子供時代の生活に大きなページを割いている意味がはっきり感じられる。彼女は2008年に90歳で亡くなるまで、長い戦後を生きたわけだが、心のふるさとは子供時代をすごした国際都市ハルピンだったのだろう。
 満州国といえば、帝国日本の大陸侵略と支配のイメージを抜き去ることができず、プラスの目で見られることは少ないと思うのだが、『この世界の片隅で』に戦時下の庶民の生活が活き活きと描かれたように、そこでも人々は生きていた、泣いたり笑ったりしながらほとんどの人はまっとうに働いて食べて暮らしていたんだということを、いまさらのように強く感じた。

 昨日は止まった電車の中で待たされていた分、持っていた本を読み終えてしまった。キングの『ダーク・ハーフ』上巻。純文学作家が半ば生活のために書いでベストセラーになった暴力ハードボイルド犯罪小説。4作書いて、彼はある事件をきっかけに、そのペンネームを葬って二度と書かないと決意するのだが、彼の暗い半身であるペンネームの男が現実に動き出して関係者を惨殺していく、という、これまたアイディアはシンプル、ディテールでぐいぐい、の王道キング小説。ポーの『ウィリアム・ウィルソン』とかスティーブンソンの『ジキルとハイド』とか考えると、結末の付け方は「あれしかないでしょ」という気もするが、それでもぐいぐい読ませちゃう、やっぱりすごいぞ、キング。

2017.07.09

 ブログはお休みするつもりだったが、時間ができたので書くことにした。

 昨日は友人のK教授のお誘いで、上野の国際子ども図書館に、イギリス人の学者さんの「日本のアニメに描かれたイギリス、真実、虚構、ファンタジー」と題する講演を聴きに行った。スウィフトの『ガリバー旅行記』に登場する日本についての記述、1882年に刊行された『東洋の不思議の国』という未訳の小説の中で、日本人がイギリスの子供に日本の話をするところで、キャロルの『アリス』と日本が「不思議の国」というイメージで対比的に描写される、といった興味深い話題から始まる。
 次に、日本のマンガ『きんいろモザイク』と、そのアニメ化の話。イギリスに留学して金髪の少女と友達になったヒロインの高校生活に、イギリスからその少女アリスがやってきて学校に入る。きんいろとはアリスの髪の色であり、いろいろな少女の中に異質で愛らしい、そして日本が大好きなイギリス少女がいりまじる、それがタイトル化している。そして原作マンガでは記号的にしか描かれなかったイギリスの建物や自然が、アニメではより具体的に背景として描かれ、モデルとなったコッツウォルズのペンションがアニメのイメージを保存して、やってくるファンの期待に応えようとしている、というお話。
 このマンガもアニメも知らなかったし、どちらかというと女性に人気のスポットなはずのコッツウォルズと、複数の美少女が男抜きでキャッキャしているタイプのアニメを好んで、聖地巡礼するのはどっちかというとオタク男子のはずなので、そのずれ加減が、モデル現地に影響を与えるほど大人数だっていうのが、正直日本人的には「ほんとかね」という気分がしちゃうところはある。でも日本人が国内に作ったイギリス村みたいなものがいくつもあるね、というわけで、福島、大分、亀岡なんかのそれも出てきたけど、知らないものばかりでへえっとなるばかり。
 その後話題は「紳士と貴族の生きる国」というイメージとして、アニメ『黒執事』など、「魔法の知識と学校の国」というイメージとして、『カードキャプターさくら』など、「悪の秘密組織とオカルトの本拠地」として『反逆のルルーシュ』などを取り上げる。日本人の実感としては、ここらも微妙にずれている気はするけど、イギリス人的にはそのへんが不思議に感ずるのかもね。いまだに「ゲイシャ」や「ニンジャ」が強調されるときの、日本人的違和感のひっくり返し、というか。
 最後はジブリとその系列に登場したイギリス・イメージ。どれもイギリス直輸入ではなく、咀嚼され、メタモルフォーゼされているけど、という。ラピュタの鉱山町は宮崎が見たイギリスのそれが母体になっているが、イギリス性は特に強調されず、国籍不明的ヨーロッパになっている。ハウルは原作者のこだわりのイギリス固有性を抜き取られていて、ここに加えるのに疑問を感ずるほど。アリエッティは日本に翻案されているが、こびとたちは異国人性を残していて、外国人=異質なもの、という記号性が感じられる。マーニーもしかり。ある程度継続してジブリを見てきた自分からすると、優れた咀嚼力を持っていた宮崎が現場を離れることで、想像力世界での「異国的なるもの」を作品の活力とするパワーは明らかに衰えて、手の内が透けて見える弱々しさを露呈している気がした。
 日本におけるイギリス的なものの需要、浸透、変形というテーマなら、本格ミステリにおける「館もの」の展開なんてまさしく魅力的モチーフだと思うんだけど、翻訳がないから難しいねえ。日本で「西洋館」ということばが帯びている、磁力、光と闇から、理解してもらわないと無理なんだから。

 そんなことを考えてうちに帰り、シャーロックのBS特番を見たら、推理ドラマの舞台にまさしく昼間教えられたばかりの、福島県にあるブリティッシュヒルズの紛いマナーハウスが登場して、腹を抱えてしまいました。それにしても推理ドラマの中断時間に挟まれた「ホームズとワトソンのただならぬナントカ」というのは、あまりのしょうもなさに椅子から転げ落ちたくなったすよ。

2017.07.08

 今日明日と外出予定が続いてしまったので、シャーロックの放映見るのは月曜日。ブログも月曜日と思ったけど、書く時間ができたので9日に行進しました。

 しかし、キングの『書くことについて』は面白かったすよ。

2017.07.07

 暑いっす。ジムにはもちろんエアコンは入ってるけど、汗の掻き方が違ってきた。ストレッチだけでも発汗しちゃうんで、もう大変。

 本棚一杯で困るんで、もらいもののミステリをまた1冊読んだんだけど、これがごめんなさい、かなりダメでした。12世紀のパリを舞台に、聖遺物の盗難や殺人、聖史劇がらみの謎めいた事件がって、モチーフだけ見るとかなり篠田の好みでしょ、という感じがしたのに、もらっていままで手をつけていなかったのは、なんとなく本のたたずまいだけからもダメオーラが出ている気がしたからで、読んでみたら案の定ダメでした。
 書き手は西洋史を勉強していた人らしくて、調べ物はさすがに熱心にやっているようで、考証や背景についてはか〜な〜りコチャコチャと書き込みをしています。だけど、全然その時代の臭いがしない。肌触りがない。昔のセルアニメみたいに、線があって色が塗られていても立体感が感じられない。登場人物もおっさんからへたれな学生から医学を志す男装の美少女から、いろいろ取りそろえてみましたという感じでも、その人物がことごとく薄っぺらで血が通ってない。
 だからどんな事件が起きても、全然感情移入ができなくて、するすると筋を追っていくだけで、読んでも面白くもなんともない。ラノベだって、ここまで薄っぺらじゃないよなあ。っていうか、どのキャラにも萌えなんか感じようがないよなあと。
 歴史研究者が歴史小説を書けるわけじゃないというのは、大デュマに材料を提供した学者が書いたものは全然おもしろくなかった、という昔からわかりきった話だけどね、いまはデュマの時代よりもっと資料は充実してるじゃないか。12世紀パリの裏路地に石畳が敷いてあるという冒頭のところで、「あれ、この人って」と思った勘は当たっていましたよ。その時代に舗装なんてしてあるわきゃねえよ。そんなの調べなくたって感じろよ。歴史は表の資料だけじゃわからないよ。食べたり出したり、そういう下世話なところから押さえないとね。

 このブログで篠田が面白いといった本を読みます、といってくれた方がいて、それはとても嬉しいなあと思ったので、逆の「つまらないよ、パスだよ」も書くべきだと基本は思っているんだけど、これもこの前のミステリと一緒で、自腹を切った本でなく献本なので、タイトルは書きません。世の中の書評家は、献本で商売している人もいるやに聞くけれど、というのは書評の原稿料なんて安い場合がほとんどだから、自腹で買ってたら赤字になってしまうよということもある。でもま、このブログは自分の楽しみ+読者サービスだからな。
 それと、新人の作品を「買うな」というのはやはり気の毒でしょ、というのもあります。書かなきゃ上手くはなれないんだから、その道を閉ざすのは因業だ。しかし、自分が稼いだお金を使って本を買う人は、当然ながらつまらない本を回避する権利がある。好みもあるから、という逃げもあるけど、悪いが今回の歴史ミステリは、それ以前の問題だと思った。でも、やはりタイトルは書きません。読書愛好者は、本を前にしてその本がいけてるかいけてないか、自分の好みに合うか合わないか、かぎつける嗅覚を具えるべきです。
 それにはネット書店じゃダメ。リアル書店に足を運んで、自分の目で見て触れて、最初の1ページを立ち読みして、「行ける」と思ったら勇気を出してお金を出す。当たれば嬉しい。外れても、それも修練。電源入れれば勝手に流れるテレビ番組と違う、読書というのはそれだけ主体的な娯楽なのですぞ。

2017.07.06

 いやもう暑いです。昨日の夜は少し雨も降って気温も下がったけど、今日は雲は多くても晴れてる。出かける気はしないので、仕事場で沈没しつつ原稿ぽちぽち。ゴーヤ1本収穫、でかいです。300グラムに迫るサイズ。まあ、スーパーで売ってるのはもっと大きいけど、プランターだからね。ミニトマト4個。ささやかな農業。

 シャーロック4の放映は今週土曜。昨日はBSプレミアムの特番を見たけど、まあかなりしょうもない。ただグラナダ版のホームズの映像がたくさん入っていて、「ほー、なるほど」と眺めたっす。しかしジェレミー・ブレッドさんって、どっちかというとホームズというよりドラキュラ顔だって気がする。ホームズは、あのオリジナルのイラストを見てるもんだから、もう少し細面じゃないかなって。「四つの署名」のテムズ川での追跡シーン、船の舳先にいるホームズが横座りするところが、なんだかおしとやかな感じでちょっと笑えた。老後の楽しみに、グラナダ版買おうかなと思った。
 それで、自分はネタバレ回避していないので、S4の翻訳やまとめをしてくれている人のブログをせっせと読んでいるんだけど、そちらでは悪評さくさくなので、かえって期待しないで見られるかな、なんて思ってます。ただ、これはやはりベネディクト・ファンの人にはいろいろ辛いかな、と思うですよ。なぜかというと、コーカソイドの男性ってのは骨格は立派だけど、皮膚は老化がすげえ出るのね。シーズン1に戻って見比べると、彼の老け方がいちじるしい。最初のときはぎりぎり青年だったんだなあ。で、そのときのイメージからすると、いまでは完全におっさん顔になっておるの。
 で、おっさん顔でなにが困るか。くるくるのヘアスタイルが似合わないんです。どこか子供っぽく無垢なものを感じさせる彼のヘアスタイルに、無精髭はなにしろ変。彼の顔立ち自体に髭が合わないわけじゃないんですよ。その証拠に「ドクター・ストレンジ」には、ぼさぼさホームレス風髭に長髪の彼も、刈り込んだ丸髭に短髪なドクター完成形も登場するけど、くるくるヘアのままヤク中ぼろぼろ無精髭おまえは尾羽打ち枯らした役所広司か面の、S4E2のシャーロックよりは問題なく髭が填まってましたよ。

 S4の放映が終わったら、S1から回顧して分析とかしてみたい。ひとつには非常に印象的だったS1E1が、ドラマとして、ミステリとして考えると、いろいろ疑問点が出てきてしまう、そのへん。個々のドラマとしての問題に加えて、やはり後になるほど「あれれ?」と思わせるところが出てきて、引っかかってしまうことなんかもありますよ。ホームズのコカインというのは、当時は非合法ではなかったし、でもあまり誉められたことではない、という位置づけだったと考えれば、それをたばこに置き換えて彼の弱点化し、「パイプ3服の問題」を「ニコチン・パッチ3枚分の問題」にしてみせるというのは面白い現代化だなあと感心したのに、後になったら平気でヤク中になっちっゃたというのはなんでなんだろう、とかね。禁煙を志すなら、そもそもコカインなんかやっちゃダメでしょ。人気が出たからそのへんの配慮は不要になった? 教えて誰か。

2017.07.05

 台風が行ってとても暑い。昨日の夜も蒸し暑くて、雨が吹きかけるから窓を開けられず、エアコンをつけたけどやはり寝苦しかった。ゴーヤは雄花が満開。大きくならない実も出てきたけど、取って食べられるサイズが複数ぶらさがっている。

 昨日から仕事中、冷えピタシートをおでこにぺた。宅急便とか来ないでね。って、向こうはそんなの気にしちゃいないよ。ネット見てたら、アマゾンの当日配達便が届かない、在宅していたのに不在だったといわれた、不在票が入らずにメールだけで不在の連絡が来るが、配達業者の連絡先がわからない、といった苦情が増えているというニュースがあった。
 ヤマトの一部撤退の影響が出ているんだろうけど、不慣れな弱小業者に仕事が回って、トラブルの元になってるけどアマゾン本部でも全然フォローできてないみたい。もうさあ、当日配達とかお急ぎ便とか、止めていいんじゃない? 2〜3日待ったところで、どうにもならないほど困るような案件じゃないなら、そんなのなかった昔に引き戻すしかないじゃんか。できてしまったらない昔には戻れない、というのは故山本夏彦翁の名言のひとつだけど、そんなこといってる場合じゃないと思うですよ。

 昨日も、もらい物本棚の満杯を整理しなきゃというので、かさばる単行本ミステリを斜め読み。どれだけ不可解な現象が頻発しても、組織犯罪ならクリヤできるんだから、不可能興味はその時点で死ぬよね。ついでに架空の新興宗教集団をそこにもってくれば、動機の問題も軽くクリヤできて済んじゃうよね。どんな残虐事件も「そういう信仰でした。教祖様がやらせました」で、それ以上掘り下げないんだもの。だから嫌いなんだ、こういうタイプのミステリ。ただでいただいたもので、えらそうに文句垂れるのは失礼だと思うから、タイトルは書きませんがそういうことです。

 昨日書いたイベントのこと。今回はアンソロのテーマが「迷」「惑」と抽象的なので、できあがった作品も多様です。おまけに男性ゲストが、乙一さん、法月綸太郎さん、今野敏さん、大沢在昌さん、っていわけで、これもなかなか読み味の違ったお作になっていて面白い。それから神楽坂のラ・カグというのは、もとは新潮社の倉庫だったところだそうで、いまではおされなグッズ屋や手作り物なんかの店が入っていて、その中にゆったりしたイベント・スペースがあります。一階にはセルフのカフェもあり、ドリンクもフードもけっこういけます。その分、売られてるものとか、カフェのお値段もわりと高いけどね。
 アンソロは2冊なので、まとめて買うとこれまたそれなりのお値段なんだけど、乙一さんと近藤史恵さん以外は全員集合してサイン会も含まれているんで、まず二度と手に入らないサイン本がゲットできます。サインはこの本だけで、持ち込みは禁止なんでそこはよろしく。

2017.07.04

 昨日は蒸し暑くて安眠できず。ツレと体感温度が違う。自分は暑がり、ツレは寒がり。体脂肪率が全然違うからなあ。冬山で遭難したら生き残るのはこっちだとしても、取り敢えずこれからしばらくは暑い。ゴーヤ喰おう。

 7月27日のイベント情報です。神楽坂の、新潮社倉庫を改築したスペース「ラ・カグ」で、アミの会の書き下ろしアンソロジー『迷』『惑』刊行を記念してトーク・イベントを行います。入場は無料ですが、本2冊をご購入いただくことになるので、その分のお金がかかります。告知や予約方法は下記へ。

https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/011c9kyz1ydm.html

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