篠田真由美お仕事日誌

Sherlock回顧 17/ホームズらしさとは

 BBC/Sherlockにはまって以来、ずいぶんたくさんの二次創作(パロディ、パスティーシュ、映像化すべてこみで)を見てきた。ホームズ物語が21世紀になってもなお読まれ続け、二次創作が続いているのは、名探偵と助手兼記述者という、ドイルの生み出したシステムのすばらしさゆえだが、もうひとつ、骨組みは独創的なのに肉付けがしばしば粗っぽく、深読みや補完の余地がたっぷりあるということにも起因していると断言してかまわないだろう。

 まことに百花繚乱の二次創作には、ドイルが書き続けていたらこんな作品も書いたかも、と思わせられるタイプから、相当にトンデモナイものまであって、なかなかに収集欲を掻き立てられるのだが、「ホームズは二重人格者の殺人鬼」「ホームズは女」「ホームズは未来人」と、こうなってくるとなんでもあり。それと比べれば21世紀のシャーロックなんて、とてもまっとうで普通だという気もしてきてしまう。そして事実、ドラマから入ってドイルの正典を読んでみても、違和感はない。制作者が「ドラマのノベライズはやらない。小説が読みたかったら原作を読め」と豪語しているのもなるほどな、と思っていた。まあ、S1.2のあたりでは。

 それで、どんな書き方をされてもホームズに見える、と感じる時の「ホームズらしさ」の核とはなんだろう、と考えた。それはさして迷わず出てきた。

 

1.探偵仕事が命で、他のことはわりとどうでもいい。

2.非恋愛体質。探偵仕事と関わらない限り、女性に積極的に興味を持つ方ではない。

3.家族関係が希薄。兄は出るし、祖先の話も出るが、他の両親などについてはまったく触れられもしない。

4.ジョン・ワトソンには好意を隠さないが、どっちかというといいように引き回してこき使っている。

 

 このうちの、1と4は完全にBBCでも踏襲されている。正典のホームズは音楽愛好家でコンサートにはよく行くが、現代のシャーロックは我流のバイオリンを弾くだけで、他の趣味らしいものは見受けられない。化学実験は仕事を兼ねた趣味かな。ジョンについてはご覧の通り。で、問題が3と2だ。「回顧16/シャーロックのクリスマス」で触れたが、S2E1のシャロはどう見てもクリスマスに負のこだわりが感じられる。普通の両親と仲の良い家庭で育ったにしては、反応がおかしい。それがS3E1で両親が登場し、S4でサイコパスの妹が出てくる。裏設定の途中変更を疑わざるを得ない。そして恋愛要素はアイリーン・アドラーとの関係だ。

 自分はずっと、アイリーンの救出シーンは幻想説だったのでよけいだが、それでも彼女が再登場はしなかったので、そこをあまり気にしないで済んだ。ところがS4E2には、相変わらず彼女からメールが届いて、それに返信することもあるとシャロがいう。おいおい。つまり本当に彼は、アイリーンに惚れているのか?

 実は他の多くの二次創作の中でも、この設定から逸脱した作品はいくつもある。「シャーロック・ホームズの愛弟子」というシリーズでは、孤児の少女が引退後のホームズの弟子となり、師弟愛はいつか恋となってふたりは結婚する。フリーマントルの「シャーロック・ホームズの息子」シリーズでは、滝から落ちたホームズをスイス人の看護婦が救い、ふたりは恋をして息子が生まれるが彼女は病死、育児放棄したホームズは息子との関係に悩むことになる。そのものずばり『シャーロック・ホームズの恋』という長編もある。で、結論から先に言えば、どれもホームズには見えない。別人にしか感じられない。「非恋愛体質」というのは、ホームズらしさのなかでもかなり比重が高い要素だと思う。

 つまり、「正典重視」を歌って始まったBBCドラマは、S4にきて「家族」「恋愛」という、ホームズらしさを大きく逸脱する試みに敢えて足を踏み入れた。後が続くかどうかは知らないけどね、なわけだ。ラストで「さあ、またゲームが始まるぞ」的な絵を見せられても、素直に喜べないのは、ホームズに見えないシャーロックになってしまっているからだと思う。少なくとも自分にとっては。

 

 BBCドラマから抽出して、正典でもそれはあるなと思ったもうひとつのホームズらしさは、彼の「少年性」である。悪意もなく傲慢で自己中心的な、子供っぽさ、無邪気さだ。それがベネディクトの演ずる若々しいシャーロックの魅力で、しかし正典のヴィクトリアン・ジェントルマンの中にも、その少年性は生きていた。だからふたりのホームズはホームズらしかった。そして少年性を奪われたシャーロックは、翼をもがれた天使のように痛々しい。それが成長だとしたら? なにか違うと思う。

2017.11.12

 旅行前最終日。ちょっとした足りないもの、傷テープとか濡れティッシュとかを買いに行き、それからパソコンでチェックインを済ませる。パスポート番号や有効期限、誕生日を入力しなくてはならず、どこか間違えてやせんだろうかと小心者は不安。しかし荷物はバックパックにまとめて機内に持ち込むし、後は搭乗時間が離陸の45分前からに指定されているので、そのくらいに動き出せばいいということになる。チケットもeチケットでプリントアウトした紙切れがあるだけだし、赤いカーボンに打たれたあの「航空券」がなにより大事だった昔から考えると、とんでもなく違ってしまったもんだなあと、なんとはなしにため息が出る。そんなに昔でもないのにさって、何年くらい前からこうなったんだろう。しばらく海外とご無沙汰だった時代があるから。建築探偵でベトナム取材をしたときが、ご無沙汰前のラストだと思って手帳を調べたら、2005年でした。12年前。それくらい時が流れれば、なにが変わっても不思議ではないか。

 そういや先日ツレと話していて、公衆電話のつもりで「赤電話」といったら、「赤くなかった。緑だった」といわれ、ふと我に返って愕然。赤電話は、死語だわ。ていうか、昔も公衆電話は赤くは、なかったよね?・・・昔の電話ボックス、いまの四面透明なのになる前は、壁が変な肌色で屋根が赤かったんだよ。丹頂型といった。あれを赤電話と呼んでいたような。自分の記憶すら曖昧だわ。あな恐ろしや。すべてが過去になっていく。

 

 というわけで、行ってきます。iPadは持参するので、ブログにアクセス可能なのだが、安宿で部屋ではWi-Fiが通じない。だからまあ、旅の話を書くのは帰ってからね。

 

読了本『暮らしのなかのニセ科学』 左巻健男 平凡社新書 最新聞でも雑誌でも、サプリ系の広告がやたらと溢れていて、「**は++にいい」「$$をとると##が良くなる」みたいなことがひっきりなしに目に入って、いわれるままにサプリや健康食品を取っていたら普通の食事をする隙がなさそう、なんて思ってしまう。この本は健康系の商品に重点を置いて、広告の嘘を片端から暴いてくれるのだが、そんな役にも立たぬものに大枚はたいている人間がたくさんいるのだなあと、いまさらのように啞然とする。血圧のサプリについては、自分もしばらく貢いでしまった口だ、というのは先日書いたけど。

 特に効かなくても害はないものなら、気休めでもいいじゃないのという気もするけれど、スティーブン・ジョブズが癌の発覚後、標準的な治療を拒んで菜食主義やコーヒー浣腸なんかを実行したあげく、手遅れになって死亡、という衝撃的事例が真っ先に語られるので、「気休めでも」なんてはいえなくなってしまう。コーヒー浣腸は前にマンガ家の槇村さとるさんが、どこかの雑誌で「とてもいい」というようなことを書いていた。体調が良くなるだけでなく、精神的に明るく前向きになれるというので、いじけっ子の自分など、うむむ〜と思ったのだが、外出したら決まった時間には行えなくなるわけで、旅先でも難しいだろうと思って試すことはしなかった。が、これもやばいらしい。サプリやダイエットに関心のある方、是非ご一読。

『シャーロック・ホームズ 東洋の冒険』 テッド・リカーディ 光文社文庫 大空白時代にアジアにいたホームズが、どんな事件に遭遇したかの思い出話を、ロンドンに戻ってきてからワトソンに語った短編集。作者は中東、アジアの言語と歴史の研究者だそうで、アジアに関する描写はとてもちゃんとしている。お話としてはミステリではなく冒険もので、読み味は悪くないが、ずっと読んでると飽きてくる。

2017.11.11

 昨日まで天気予報は「今日は雨」だったのに、朝からテカテカで気温は高く、空を見上げても雨雲らしきもののかけらもない。ジムが混んでいて汗が掻き足りないまま終わってしまったのが、ちょっと不消化気分なんだけど、旅行準備の買い物も終了してしまっているので、ジムから戻ると出かける用事もない。ようやく天気は秋らしく安定してきたのだが、ヴェネツィアは基本曇りと雨と覚悟しているんで、帰国してからも秋晴れが続いて欲しいなあ。

 

 昨日は両替してきたユーロ紙幣をもう一度眺めていたら、50ユーロ6枚のうちの1枚だけ模様が違っていて、「まさか偽札?」とか激しくびびる。ガイドブックに載っている図柄は5枚の方のものなのだ。あわてていろいろ検索して、やっと今年になって50ユーロ紙幣が新デザインになったことを知る。しかも1枚の方が新札だった。ガイドブックの情報が古かったわけ。

 イギリスに行った時、友人が前回使い残したポンド紙幣をもらっていったら、「これは古い紙幣で使えない」といわれて焦った、それが頭にあったのだよ。そのときは結局イングランド銀行でないと新札には替えてもらえないことがわかり、幸いロンドンにいるのだし、週末ではなかったので、銀行まで行って問題なく交換してもらえた。短い旅行でなにかそういうつまづきがあると、予定がガタガタになってしまうから。ユーロ紙幣は旧札もまだ問題なく通用しているそうだ。しかし高額紙幣は非常に使いにくい。厳重な偽札チェックで待たされたり、場合によっては拒否られたりもするそうで、普通に通用するのは50ユーロが最大だ、などという情報も見つけて、ほわあ、と思う。

 物価の高いヴェネツィアでは、美術館共通パスが24ユーロ、ヴァポレットの48時間券が30ユーロで、2枚買えば50なんかすぐに行くと思うんだけど、その程度の金額もクレディットカードが当たり前になっているのかな。それにしてはずいぶん高額のユーロ紙幣も発行されてるよ。いまは知らないが、昔はなにも知らずに市中銀行でドルを買おうとすると、金額がパックになったものしか置かれていなくて、それがやたら高額紙幣が含まれていて、使いにくいよ、とか思ったものだった。あの頃はカードなんかなかったからなあ。

 

 ところでこの、ヴェネツィアの美術館共通パスというの、24ユーロでドゥカーレ宮を初めかなり広範な美術館が見られるので、たくさん回る人にはお買い得なのだが、日本でもネットで買える。しかしプリントアウトした紙切れがそのままパスとして通用するので、案内地図とか入場可能施設一覧とか、当然ついていそうなものは全然ないらしい。ヴェネツィアまで行ったらもらえるのかと思った人がまごまごして、結局なにも無いとわかるまでのドタバタなんてのを見つけて読んで、「うむ。少しのことにも先達はあらまほしきことなり」と、兼好法師の決めぜりふが高校生の時から実に*0年ぶりに口から出たよ。

 「ゴルトーニの家」と「モチェニーゴ宮」は日本のガイドブックにも載っていないのだが、後者は特にすばらししく充実した衣裳博物館になっているらしい。これがすごく楽しみ。

2017.11.10

 昨日はブログを書くのを忘れてしまった。午前中医者に行って眼科で眼底検査、婦人科で降圧剤。前回の血液検査はオールグリーン。眼底も問題なし。その後池袋に出て、ジュンク堂、ムジ、それから両替は大黒屋で済ませる。通販のところと比べると1ユーロで1円は違うみたいだけど、外貨が宅配で届くというのにどうも生理的な不信感が抜けなくてね。手数料回避にはFXがどうたら、とか出てきたけど、1年に1度も出られるわけじゃないから、そういう面倒はやらない。

 しかし眼底検査で瞳孔を広げる薬を使った後が、なかなか回復しないで視野がぼけているのが不快。大黒屋の位置がわからなくて、ちょいとふらふらしてしまったが、目立つ場所でブランドものとか売っている大黒屋、上の看板には「両替」とか書かれているのに、下には「両替はやっていません、別会社です」と書いた手書きの看板が立っていて、なんだか感じ悪いな〜と思ってしまう。結局両替をしているのはそこの向かいの、急な階段を下りた地下で、若いお兄ちゃんの対応が速い速い。愛想の無いこと中国人並みでありましたが、無事完了。小額紙幣多めの設定で有り難かった。

 

 帰ってから旅行計画の作成を続行。5日間でできるだけ見落としないように、かなり綿密にやる。ただし、行ったらそのへんは臨機応変に、天気もあるし、健康状態もあるし、むしろ改変に応じるために一度綿密に組み立ててみるわけだよ。先日BSの「イタリアの小さな村」で、サン・テラズモ島の農民と島唯一のスーパーの話があって、そこへ行ってみようかという話になったのだが、ほぼまったく観光地ではないので、資料がない。しかしグーグル・マップはすごいっすね。航空写真をアップにしたら、出ましたよ、そのスーパーの外観写真。営業時間まで出てきた。わおっ。ただまあ、寒いだろうな、この季節。写真は6月に撮られているので・・・

 

 外貨両替をパソコンで調べたら、やたらとその手の広告が出るようになって腹立たしい。もう終わってるっての。昨日は夕方になってバタバタ動いていたら、めったにかからない固定電話が鳴って、「日本サプリメントのどうたら」とかいうから、可愛い女の子の声で気の毒だとは思ったけど、「もうサプリ止めたから」と電話を切る。一時血圧に効果があるカツブシのペプチドがなんたら、というのを定期的に飲んでいたのだが、広告のような効果はないな、いつ止めようかなと思っていたところに、有効成分がちゃんと含まれてなかったとかで、発売中止になった。これ幸いとそのときに止めたのだが、オレオレ詐欺もそうだけど、一度引っかけた魚は引っかけやすいと思うんだろうね。広告宣伝が飛び交っている。個人情報はどうしたって漏れる。水際で用心するしかないや。

2017.11.08

 自宅から仕事場へ向かう道の途中がケヤキ並木なんだけど、今朝は急に風に乗って、ばらばらと葉が散っていた。枯れ葉よ〜という感じです。しかし今日は空がずっと真っ暗で陰鬱なわりに、気温は低くない。歩いていたら背中に汗を掻いてしまった。

 

 旅支度かなり最終的に。お洒落は一切しない。アクセサリなんかも持っていかない。ユニクロとムジ、それも古着メインで帰りには捨てて帰るぞ、ってなものです。

 

読了本『シャーロック・ホームズの新冒険』上下 ハヤカワ文庫 ホームズ物語誕生100周年記念書き下ろしアンソロジー。上巻はわりと正典に近い作りの短編が並んでいるが、下巻はワトソンとメアリの結婚生活の真実とか、コンピュータ・システムとして現代にホームズがよみがえるとか、かなりゲテモノ作品が並ぶ。そしてびっくりはスティーブン・キング作の「ワトソン、事件を解決す」で、キングがホームズのパスティーシュを書いたというだけで驚きだが、なんと密室殺人! 

 さっさといってしまうと、密室トリックはしょぼい。いまどきこれはないだろう、というようなもの。ところがね、これはちゃんとした小説になっているのだ。トリックが明かされてからの展開が、決して意外とかすごいとかではないのだが、人物に血が通っているので、格別でもないプロットが印象を変えていく。そのディテールの書き込みが実にキング。ホームズやワトソン、レストレードもまた血が通っていて、特に事件の関係者となった家族たちはこれからどう生きていったろう、なんてことまでそぞろ思わずにはいられない。キングはミステリ作家ではないが、すばらしい物語の紡ぎ手だといまさらのように痛感いたしやした。

Sherlock回顧 16/シャーロックのクリスマス

 「ベルグレイヴィアの醜聞」を画像たくさん入りで訳してくれている方のブログが、クリスマスの場面に入った。シャーロックのバイオリンにハドソンさんが大喜びするところで、和気藹々の団欒かと思ったら、ジョンの彼女を別れた前の彼女の名前で呼んで、それからもたくさんいたね、的な発言をしてジョンを不快にさせたと思えば、レストレードの奥さんが体育教師と寝てるとか、ジョンの姉妹がアルコール中毒から抜け出そうとしているのを、「また飲んでる」とか、あげくはモリーに「新しい恋をして悩んでる」と。それが自分へのプレゼントだったとわかって、彼女に謝罪するシーンが印象に残っていたので、そちらのことばかり覚えていたのだが、よく考えるとそれ以前の発言もかなりひどい。空気の読めないソシオパスだから、と思って見過ごしていたけど、30男にしちゃガキ臭すぎないか、と思ってしまった。

 シャーロックとクリスマスのエピソードというと、ジョンのブログに「商店街のサンタにジューシィな殺人事件がプレゼントに欲しいと騒いだ」という話があって、そっちはそれなりに笑えるけど、そういやあもうひとつ、S1E1のラスト近くでマイクロフトがジョンに「クリスマス・ディナーが大変だ」てなことをいう。そこから深読みすると、シャロは要するにクリスマスの家族的な雰囲気に耐えられないのではないか。みんなが「少なくとも今日は仲良く、楽しく」みたいな感じでいると、それが偽善的に思えてぶち壊してやりたくなってしまう。つまりね、子供のときのホームズ家でそんなことがあったんじゃないか。だってそういうのって、明らかに大人の発想じゃない。「王様は裸だ」って叫ぶガキの心情でしょ?

 ホームズ家の不和の原因は、子供の時パパの浮気をシャーロックが気づいて口に出したため、という裏設定があった、というようなことをどこかで聞いた覚えがあるんだけど、公式だったのかなんなのかも思い出せません。だけど明敏なガキシャロなら、パパの秘密をあっさり見抜いてしまいそうだし、兄や母は気づきながら口に出さないでいたのを、「嘘つき」と思ってシャロが暴いてしまい、クリスマスの平和が吹っ飛んで、ママは泣いて、みたいな情景が浮かんでくる。

 ほんの一時の浮気なら、いまとなっては過ぎたことと笑い話に落とし込むことも不可能ではないけれど、クリスマスの後のモルグで、嘆き悲しむ家族の姿を遠目に眺めている兄弟の会話、「彼らは互いをあれほど気遣い合っているのに、我々はなにがいけないのだろう」「人は皆死ぬ、心は砕かれる、気遣いは役に立たない」というのを合わせて考えると、事態はもう少し深刻な気がしてしまう。家族の誰かが死んでも嘆けない、ぼくたち変だよね、とシャロが尋ね、だけど仕方ないじゃないか、そんなものさ、とマイキーはいっておるのだからね。お互いの死を嘆けないくらい、冷え切った関係だというふうにしか聞こえない。

 ドラマ上の多くの裏設定が、S2とS3の間で断絶しているというのが篠田の観測です。きちんと決めないままぼかしていたことを、いざドラマにもっと直接反映させるかということになって、明らかな軌道修正が行われた。ほんとに殺伐とした崩壊家庭だった方が、ユーロスの設定には似合っていた気がするけど、それも後付けだし、一度ホームドラマ的に舵を切ってから、それを裏切るのも面白くね? というわけでああなったのだろうと思ってます。

2017.11.07

 今日もまたぬくいのだが、明日は雨で、その後は晴れても寒くなるらしい。そろそろ旅支度というわけで、天気の具合なども見てみるが、地中海性気候は秋から冬は天気が悪いのが当たり前なので、これはもう安い時期に行くんだからしかたない。服装についてはいまも悩み中。別にお洒落をする気はさらさらないが、寒いのは嫌だしな。だいたい石の町で、その上水の上だから冷えるんだね、しみじみと。最高気温は13度、最低気温は10度って、日本より上下の差が少ないのは確かで、それはちょっとホッかな。

 

 お金の両替をどうしよう、というのでいろいろ調べて、いまは外貨を宅急便で送るというのがあると聞き、はて、現金を送るのは違法ではないのかしらん、と首をひねるが、外貨はいいってことなのかな。なにせゆうちょ銀行でさえやっているというんだから、とはいえなんか疑わしい気分になってしまうのは如何ともしがたい。

2017.11.06

 やっと仕事を終えたタイミングと天気が一致したので、近場のハイキングに出かけた。西武線で西吾野まで行き、高山不動というお寺まで、かなり急な山道も含めて90分。もっと先に見晴らしのいいところがあるのだが、今回はちょっと疲れてそちらはパスし、下りにするが、なぜか舗装した道をたどることになってしまい、といってもめったに車は来ない山の中をゆるゆると下るだけ。もう少し先に山道の下り道があったらしいのたが、それを見落としたらしい。自分的によくある話。吾野駅に下ったらまた待ち時間ゼロで帰りの電車が来て、往き帰り含めてたったの4時間で2万歩の山行きだったが、帰って汗ばんだ服を洗濯機に放り込んだら、万歩計を外すのを忘れていて哀れ昇天。ぼけてます。

 

 帰ってからパソコンを前に、旅行についてのあれこれを検討。現金の両替はどうするかとか、食事の予算はどれくらい見ておくべきかとか。買い物は極力しない方針だが、行くとわからないしな〜 『ヴェネツィア カフェとバカーロでめぐる、14の迷宮路地散歩』という本を買って、これがなかなか心そそるのだが、店の予算が書いてないのだよな。

 

読了本『悪魔の収穫祭』上下 トマス・トライオン 角川ホラー文庫 これは要するに「田舎は怖いよ」ホラーの古典です。都会を逃れてやってきた家族が、美しい自然と純朴で古風な人々の共同体にやがて受け入れられて、ああ素晴らしいとなるが、やがてその共同体の恐ろしい秘密があらわになってしまい、すばらしさが反転、という、既知感ありありのストーリー展開だけど、それはたぶんこの作品が草分けなんじゃないかな、という。だから展開があまりにベタだ、などというのは、「モルグ街の殺人」の密室トリックにケチをつけるようなもので、あんまり意味が無い。ただやはり古めかしいというのは、展開がひどくゆっくりで、すばらしき田舎の中に見え隠れする謎とか不吉な前兆とかがあんまり効いてない感じがするからか。初めの幸せ感が後の地獄に転落する衝撃といったら、たとえばジョナサン・キャロルなんかが思い浮かぶけど、あれほどの衝撃はない。予想の範囲に収まっちゃう。

 それとこれは「田舎は怖いよ」ホラーだけじゃなく、ホラー全般にあることだけど、主人公がとにかく最悪の選択をして自らドツボにはまる。読者ですら先が読める状況で、主人公だけがわけもわからず地雷原に突入して、案の定ひどい目に遭う。この話の主人公の男も、自ら危機を呼び寄せたあげく、警告を無視して突っ込むんだけど、それがあまりに見え見えな状況なので、田舎の奇習をあばこうとする彼の行為が英雄的じゃなくただのお馬鹿に見えてしまうということがあります。話のオチはフレーザーの「金枝篇」+ギリシャ悲劇「バッカスの信女たち」。植物神の死と再生の神話だけど、ここで現れるのは麦ではなくトウモロコシなので、だったらいっそアステカ文明のイメージでも重ねた方が面白くなかった? なんても思いました。ま、つまらなくはない。 

 

 変換ミスを手直しして、ちょっとだけ付け足す。よく考えると主人公のラストの境遇は、ギリシャ悲劇の中のある大変有名な作品のそれを連想させるので、作者は敢えてギリシャ悲劇縛りをやって、アメリカのニューイングランドの田園にアルカディアというミスマッチの効果を狙ったのかな、などと思った。

2017.11.05

 角川ホラーの直しを終えて、日曜だけど取り敢えず送稿。これで当面仕事はしまって、旅行準備だけしますわ。安いチケットを買ったら、アリタリアだけど到着は夜遅いし、出発は早朝だし、全旅程は8日だけど使えるのは5日。空港から市内へのアクセスの時刻表とか、島に行く時の乗り合い船の時刻表とか、みんなネットで見つかるというのが、実に便利というか、もはや旅行会社が必要とされないのも不思議はないなあという感じ。私は昔格安航空券屋でバイトをしておったのですが、うたた昔日の感あり。

 

 しかし日暮れが早くなったなあ。毎年同じことのはずなのに、こういうのは毎年なんか初めてのことのように感ずる。しかし今年はうちの周辺の紅葉の色がいまいち感。空梅雨で葉っぱにダメージがあったのが、いまだに祟っているような気がする。先日の雨でやられた裏磐梯は、かなりきれいに色づいていた気はするんですが。

 自然の話題といえば、近所の寺に紅葉を眺めに行ったら、楕円形の大きな実の付いている樹があって、なんだかナツメのように見えたので戻って『日本の樹木』という図鑑でチェックしたら本当にナツメだった。ひとつもいでかじってみたら、中華材料に売っているドライのナツメの、あの少し油っぽいようなくせのある味がして、おお、と感動。来年は忘れずに花の咲いているところを見なくてはとツレといいあう。植物というのは愛おしいものです。

2017.11.04

 なんとなく気温が高め。でもジムからの帰りの車中では、低い雲が秩父方面に垂れこめていて、そのうち風が吹いて少し雨粒も落ちてくる。地域の祭りで通りに縁日がずらり。かなり人も出ている。屋台の業種も流行り廃りが早いこと。一時エスニックブームというか、やたらドネルケバブが何軒も出ていたけど、それは1軒だけになり、焼きそばやお好み焼きなど粉もんは堅調、ベビーカステラも堅調組。あとは唐揚げとか肉の串焼きとか、ミート系が昔より多くなったか。リンゴ飴とかチョコバナナとかは、いまも普通にある。綿飴はほとんど消えた。べっこう飴は完全に消えた。総じて甘いものより、しょっぱいものの方が多いような。まあたぶん、眺めるだけで終わるだろう。

 

 そろそろ旅行の準備も本格的にしなくてはと思い、チケットを頼んだ歩き方ドットコムから、旅行保険関係のメールが来ていたので検討するが、なんか保険料がわりと高いのに、ページ上からは保険会社の名前が一見するとわからないとか、契約証は送らないとか書かれているのに嫌になって、ネットで他を当たると比較サイトが出てきて、結局損保ジャパンで一番安いのを頼んだ。幸い保険が必要になるようなことはまだ一度も無いので、まあなんとかなるだろう。

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