篠田真由美お仕事日誌

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2015.12.05

  今日は良く晴れて比較的暖かい。しかし夜になるとぐっと冷え込むので、脱いだり着たりをやっている。ジムに行ったので昼間は一枚減らして、でも仕事場から家に帰る前にはもう一枚着る。めんどうくさい。

 先日鴨のコンフィを作って、そのとき使った油を漉してとっておいたので、もったいないから砂肝のコンフィを仕込んだ。塊肉を加工するよりずっと簡単に済むが、砂肝は固い皮を取らないとならないので、手間だけはかかるのだった。

 ホームズ・パスティーシュのカタログ本『シャーロック・ホームズ・イレギュラーズ』はパソコン脇に常駐していて、面白そうなのは随時注文したり、メモって本屋に行ったりしているのだが、さすがに2008年の刊行で、新版が欲しいよという気分になる。翻訳物の場合は、ほとんど新刊書店では手に入らないから、古本屋サイトかアマゾンのマケ・プレで探して、目の玉の飛び出るような値段でなければ注文してみる。それでも「これは」といいたいような作品にはなかなか出会えないのは、このブログで書いている感想でおわかりのはず。
 芥川賞作家奥泉光の『吾輩は猫である殺人事件』が新潮文庫に入っているので、これでも買うかなと思って新刊書店で目録を見たら、奥泉光の文庫が一冊も載ってないのでビックリ。著名な作家でも簡単に消えるのだな、新潮文庫。アマゾンのマケ・プレでは、文庫は高くて単行本は安いので、単行本を買うことにした。ホームズのパロディというより、わがねこのパロディらしいけど。

読了本『ベンヤミン院長の古文書』 金澤マリコ 原書房 福山ミステリー文学新人賞優秀作。ときどき扶桑社ミステリーあたりで出て、ほとんどの場合スカであるキリスト教がらみ系のサスペンスもののような感触。実際そのへんと並べてみたら、そんなに悪い方ではない。作者は歴史を学んだ人らしく、簡単に目に付くような事実誤認や、宗教に関する誤解も見あたらなかった。
 古代に焼かれて失われたはずのアレクサンドリア図書館の蔵書がいまなお隠されていて、それをコプト教の修道院がひそかに守り伝えている。その封印が解かれようとして、バチカンの改革派と保守派の暗闘がそれにからんだり、怪しげな新興宗教家が暗躍したりする。モチーフ的には派手だが、如何せん、物語に起伏が乏しい。実際こんなことがあったら大騒ぎだし、そこからユダの福音書以上のすごい文書が飛び出すこともあり得るけど、その程度でバチカンはひっくりかえりゃあしないわなあ。作者の誤算は、モチーフが派手なら小説も派手になると思ってしまったこと。
 登場人物はやたらと多く、場面がばんばん飛ぶのも翻訳物っぽいが、感情移入できるような書き方をされている人物がひとりもいないので、興味を繋ぐことが難しく、読み進むにもひたすら忍耐するしかない。テーマ的には好みなのですが、島田荘司御大のご推挙はあれど、これはエンタメ小説として世に問う水準には、いささかきびしかったかなという印象。

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