篠田真由美お仕事日誌

2018.01.08

 成人の日で祭日といっても、貧乏自営業者には夕刊が来ないくらいしか違いが無い。お天気が悪いので、さすがに散歩に出る気にはなれない。午前、長編の続きをやってようやく100ページ目に到達。借り物を返さないとならないので、『髑髏城の七人』通称ワカドクロをもういっぺん見てしまう。早乙女太一の蘭兵衛がK教授のご推奨だけど、篠田は小栗・捨之介と森田・天魔王がわりと好きかも。あと、『オーランドー』のビデオがあるんで、これは明日見よう。長時間画面を見ていられないので、立て続けは無理。

 

 ポワロ『ひらいたトランプ』は、読了して霜月ポイント星ふたつ、は妥当なところだとうなずく。殺人を犯しておきながら、発覚せず逮捕もされずにいる人間が集められて、という点は『そして誰もいなくなった』と共通しているが、彼らに正義の刃を下すのではなくて、そういう人間を呼び集めて楽しむという、危険な遊びをしようとした男が殺される、というのは、いかにもミステリ的な人工性の強い、サスペンスフルな設定。だけど、肝心の小説の方はあんまりサスペンスフルではない。四人の殺人者にして容疑者、それに対して四人の探偵役、とポワロ好みの対称性だが、探偵役が四人もいるせいで道行きがやたらもたつく。昨日も書いたけど、探偵役らしい四人の中に犯人がいる方が面白いんじゃないのって思うんだけど。

 そして、これは霜月さんも指摘しているのだが、ポワロの心理的探偵法というのに説得力がまるでない。「この殺人は明らかに衝動的なもの」「しかしあなたは、綿密な計画を立てられなければ殺人などという思い切ったことはしない」「ゆえにあなたは犯人ではない」「しかるにあなたは自分が犯人だという」「ということは、誰かをかばっているのだ」ミステリの探偵の推理が、飛躍があって強引でも一向にかまわないんだけど、少なくとも読んでいる間だけは「なるほど〜」と思えないとまずい。こういう心理タイプの人間はこういう犯罪は犯さない、って、ちょっと無理くり。現場になった部屋になにがあったかを聞いたり、ブリッジ・ゲームの記憶を訪ねたりして、一種の心理試験にする、というのも発想としては面白いけど、読んでいてたるいのね。

 乱歩の「心理試験」は、倒叙ものとして探偵と犯人の対決に、連想を用いて犯行がばれる、という扱い方をしていて、見事にサスペンスを盛り上げる。フーダニットで犯人特定にこれを使うのは難しいやね。

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