篠田真由美お仕事日誌

2019.02.10

 雪はそれほどでもなかったが、昨日の夜はまあ寒かった。雪っていっても、小麦粉が降ってるみたいに堅くて細かい粒で、関東の雪ってもっとこう、べたついて水分の多い雪だったはず。だから「北国はパウダースノーなんだよねえ」とかいっていたのに、これも「最近なんか変」のひとつ。

 今日は晴れたけど、マンションのコンクリートが保冷剤状態。

 

 昨日ルパンのことをちょいと書いて、ドイルは「名探偵と助手(記述者)のコンビ」という、いまにいたるまで魅力的なキャラ類型を生み出したけど、ルブランだって「怪盗にして紳士、ヒーロー」という、これまた消えない魅力のパターンを生んだよな、といまさらのように再確認した。そして、名探偵/名犯人という対称的主人公が立て続けに生み出された19世紀末から20世紀初頭の、物語的豊饒さにあらためて瞠目したんだけど、それにしてはホームズとルパン、語られる量のすさまじい差はなに? とも思わずにはいられないのだった。

 自分は、『奇巌城』ショックのおかげで長らく食わず嫌いだったホームズものに、BBCのおかげで開眼して、以来さまざまなパスティーシュまで、古本屋で目に付いたら買っちゃう(ただし文庫メイン)状態になっているけど、キャラとして愛しているのはやはりルパンで、ホームズは愛するまでにはいかないんだな。ただ、自分がヴィクトリア朝末期を舞台に小説を書いたとき、社会の雰囲気や心持ちを知るのに、ホームズものおよびホームズ研究書がとても役に立ったというのもあり、ホームズのシリーズは不思議な波及力がある気がする。ホームズと当時の鉄道とか、ホームズとロンドンの街とか、ホームズと食生活とか、さらにバディものとしての面白さとか、ミステリ的な初々しさとか、ホームズをインデックスにテーマがいくらでも思いつける。

 その点ルパンものは、物語としての完成度がダントツに高いかというと、そこはあの時代らしい荒っぽさもあるし、メロドラマだし、だけどなんか突っ込みが入れにくいような気がする。そういう目で読んでいなかったというのはあるけどね。ただ、主人公の魅力という点では、ホームズが大好き、という気にはどうもなれないんだな。たとえば一緒にお茶を飲んで午後を散歩する相手として、ルパンは取り敢えず機嫌良くサービスしてくれそうな気がするんだ。本音はどうであれ、にこやかに。ホームズは無理でしょう。そういうことはしないでしょう、あの人は。深くおつきあいすれば、人間として信頼できるのはホームズだと思うけど。

 なんて、真剣に考える方もかなりどうかしてる、という気がしてきた。えー、あたしゃ9歳の時から二次コンでございますよっ。

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