篠田真由美お仕事日誌

2018.01.22

 予報より早く午前中から降り出した雪は、一時細かく見えなくなって、雨になったのかなと思ったが、いまは粉雪状態になって粛々と降り続けている。トイレットペーパーが最後の一巻きだったけど、雪が止んでからでも間に合うであろう。明日にしよう。

 

 昨日は、どうせ今日は出かける気にもならないだろうからと、近所の山をちらっと歩いてきた。去年の4月に山の中を切り開いて開通した国道のサブルートがあって、そこから山の中に入る道がいつも通るたびに気になっていたので、そこに入ってみたのだが、途中から道が消滅。ほんとの山歩きなら絶対にやってはいかんことだが、このへんの里山ならまあ大丈夫というわけで、強引に枯れた藪の中を突っ切って、尾根を通るハイキングコースに出た。このあたりは道標のない山道がけっこうあって、方向さえはっきりしていれば案ずるに足らずというわけで、そういうところを順次探索している。

 先日の冬苺の群生地に当たったのもそんなルートのひとつで、遭難の恐れのない真っ昼間に入ってみることにしている。今度入ってみようという脇道を、ひとつ検討をつけてきた。ちなみに冬苺をホワイトリカーにつけたら、カンパリのような見事なルビー色の酒ができたが、味の方は氷砂糖の入れすぎでひたすら甘くなってしまった。

 

 今夜は三日がかりで作った牛すじカレーを食べるぞ。一度茹でこぼした筋は刻んで水煮。コラーゲンたっぷり、冷めるとゼリー状に固まるくらいなので、オイルは思い切って控える。タマネギは炒めない。スライスしてレンジ。後はニンニク生姜ニンジンすり下ろし生トマトヨーグルト。もちろんカレー粉。

 

 ヴィクトリア4,160ページ。でかい事件は起こらないまま半分を超した。つまるかつまらないか、書いている当人にはわからないのだよ。

2018.01.21

 天気いまいち肌寒し。

 

 クリスティ再読。霜月ポイント星0.5という最低クラスの『複数の時計』にチャレンジ。「これはひどい」という評者の意見に同意せぬわけにはいかぬものの、ひどさの理由については多少の異議を覚える。霜月さんはハードボイルドがお好きなので、作中でポワロがハードボイルド小説がくさすシーンが気に触ったらしく、敢えてそのあたりを批判しているが、それよりもここで気になるのは、なんでポワロのミステリ小説評を何ページも読まされねばならないか、である。肝心の殺人事件とそれは、ほぼ関わりが無い。

 他にも贅肉としか思えない部分がやたらと多いせいで、クリスティの長編の中でも長めであり、しかしそこが全然面白くないので、「物語のふくらみ」ではなく「贅肉」になってしまっている。そして「贅肉」をさっぴいた残りのミステリ的な核は、なんとも貧弱で、確かに、これはひどいとしかいいようがない。不可解な現場状況の理由→捜査を攪乱するため。おいおい。展開は後出しじゃんけんだし、確かに救いようがなくつまらない。短編にしたら、まだどうにかなったかな、という感じ。このときクリスティ73歳。やはり衰えて、緊張感を持続できないまま、だらだら書き流してしまっているのですね。

 

読了本『髑髏城の七人』 中島かずき 双葉文庫 あの舞台の原作小説といっても、芝居を小説にしたというより、戯曲を書くための構想や背景、設定をふくらませて広げ、脇役たちの心情やディテールも加えて、時間や場の限られた劇中では描けない部分を合わせて作品化している、という感じか。しかしこれは、いわゆる「小説」ではないのだね。文字で書いたマンガ、というのが一番近い印象だと思う。設定とセリフはあるが描写はゼロ。否定しているわけではなく、別物として読まないと。その上で、築城術に長けた漂泊民、という設定で、歴史伝奇小説が読みたいなあと思った。舞台では、捨之介や蘭兵衛、兵吾といったヒーローが躍動するが、伝奇小説ならもっと渋めの主役がふさわしいだろう。

2018.01.20

 ジムの日。久しぶりにSherlock回顧を更新したので、本日はブログの方はさぼります。

Sherlock回顧18

 いつも行く方のブログで、このほどS2E1,ベルグレーヴィアの醜聞のスクリプト訳が完結。シリーズ中でも質的に面白いもの、ベスト3には確実に入る作品だと思うが、反面問題も多い気がして、これまで書いたことと重複するとは思うが、また書いてしまう。とはいえ全体に話を及ぼすのは大変なので、ラストのスピーディ・カフェでマイキー兄貴とジョンが語り合うシーンから後ね。

 アイリーンはアメリカで証人保護プログラムに入ったから、今後は新しい名前で生きていくことになり、シャーロックとは二度と会えないというマイキーに、ジョンはいやに強い口調で、「彼がそんなことを気にすると思うのか? 最後には彼女に失望していたし、名前さえ呼ばない。あの女としか」と反論する。しかし重ねて問われると、次第に語調が変わって、「自分はそう思わない」 結局ジョンも同じ懸念を持っていることがわかる。しかし、自分たちにはシャーロックの胸の内は測りがたい。ここでマイキーの「彼は海賊になりたがっていた」というセリフが出る。少し唐突に感じる分、印象に残った。自分は、アイリーン救出劇は幻想説だったのだが、初見でそう思った理由のひとつは、このせりふにあったのだと思う。囚われの美女を覆面の勇者が救出するのは、完全に海賊物語のラインだから。

 だいたいこのドラマでは、ロンドンでのシーンが現代的でリアルなのと比べて、そこから離れると急にファンタスティックなトーンになってしまう。予算がないからそうなるのだ、というのはこの際考えないことにしよう。S1E3のベラルーシ(だっけ?)の死刑囚との対話も、ひどく残酷な上にリアリティが欠けていて、寓話のようにしか見えなかった。ドラマ的な必然性にもちょっと首をひねったけど、アイリーン救出の場合は、ロンドンではまかりなりにも現実的な動きをするシャーロックが、突然ルパン三世かジェームス・ボンドのようなマンガ的ヒーローに化してしまったようで、「イスラム・ゲリラの本拠地くらい、シャーロックならひとひねりだよ。これリアルだよ」と制作者が主張するなら、イギリス人の外国人蔑視の反映じゃないのか、と深読みさえしたくなってしまう。これについて補足説明すると、つまり昔の西部劇で奇声を上げながら襲ってきてはあっけなく撃ち殺されるインディアンの描写、あれは昔のいわばお約束だけど、いまの目で見るとアメリカ原住民に対する差別意識の反映と言われても無理はない。そういうことです。

 友人のシャーロック・ファンが、ラストでアイリーンの携帯を見ながら笑っているシャロに「彼女が死んだのに平気で笑っているなんてひどすぎるから、それは違う。救出劇は実際にあったことだ」といわれたのだが、敢えていうなら、シャーロックはアイリーンがカラチで殺されたことは知らないまま、彼女からの別れのメールだけを見て、自分の海賊的冒険を想像して笑った、とも考えられる。でもアイリーンは生きていたんだから、いまさらなにを考えても無駄だね、とも思ったけど、だったら「シャーロックの空想した救出劇」とは別の状況で、アイリーン自身が自分の力で死地を脱したというのも、考えられなくはないよね。だって、アイリーンは「生きてるわよ」とメールは送ってきているにしても「あのときはどうこう」みたいなセリフは、少なくとも公式には出てないもんね。

 まあ、マイキーが「アイリーンが死んだことは確かだ。シャーロックなら自分を担げるだろうが」といっている以上、アイリーンの救出にシャーロックが関わっている、というのが公式見解なんだとは思うが、強引に妄想すればそう考えられなくもない。でもまあどちらにしろ、S5が作られるとして、そこにアイリーンがうろうろしてきたら嫌だなあ。どうかそんなことにはなりませんように。

2018.01.19

 昨日は午後映画を見に行ったので、その話題を。

 ひかわ玲子さんが熱烈お勧めしている南インド映画「バーフバリ 王の凱旋」。ちょっと調べてみたら昭島のシネコンでやっていた。ここは八高線から青梅線で一駅なので、都心に出ないで済む。盛り場の人の多いのが嫌なので、これだけで「行ってみっか」という気になり、ツレは「俺はいい」というのを強引に連れ出した。で、面白かったのです、これが。

 2部作の2作めだというので、どうなのかなと思ったんだけど、最初のだけだとまずかったかも。過去の物語があって、そこで非業の死を遂げた主人公の息子(二役)が、父の復讐を遂げて王位に返り咲くというのが物語なのだが、どうやら1作目が、滝のそばで拾われて育てられて成人した若者が、自分の出自を知り、戦うけれど、というあたりまでで、2作目はその1作目をざっとさらった後、過去編になって父のアマレンドラ・バーフバリの物語が三分の二くらい続く。王と王妃の両親が不慮の死を遂げた後、残された幼い王子アマレンドラは、王弟の妻シヴァガミに、彼女の実子バラーラデーヴァとともに育てられる。王弟ビッジャラデーヴァは手に障害があるため表舞台に立てず、シヴァガミが国母と呼ばれて国を治めている。世間を知るため奴隷戦士カッタッパひとりを供に身をやつしたアマレンドラは、隣国の戦う王女デーヴァセーナと恋に落ち、ふたりはシヴァガミのもとへ向かう。

 ここで、白鳥形をした派手な帆船が出てきたと思ったら、それがなんの説明もないまま空を飛ぶし、船の上では出ましたダンスに甘いメロディ、きっとやるだろうと思ったけど、ふたりで「タイタニック」してるし、でも北インド映画と比べるとダンスシーンは少なく、ここくらいでした。それよりこのデーヴァセーナが強いのだわ。戦闘能力が高いのはいまどき珍しくもないが、姑シヴァガミの前で一度は不遜さを詫びてみせたものの、バラーラデーヴァの嫁になれといわれると、敢然としてこれを拒否、自らの意思を声高に主張して、シヴァガミに目を剥かせる。ここで主人公が母と妻の間で揺れたら現代だけど、さすがにそういうことはない。母上を敬うことは篤い孝行息子でも、それとこれとは違うのだった。

 この後、王位をバラーラデーヴァに惜しげもなく譲った主人公だが、彼に対する民の人望は篤く、恐れたバラーラデーヴァらの陰謀で謀反人にされ、あげくは暗殺される。彼を愛しながら、命令には背けない悲劇の戦士カッタッパ。自らの過ちを知り、我が身を犠牲にして赤子を逃がすシヴァガミ。こうして物語は現代に戻り、父の無念を晴らし、25年間幽閉された母デーヴァセーナと王座を奪還するために挙兵したマヘンドラ・バーフバリ。SFXてんこもり、リアリティってどこのことば、と大声で歌ってる戦闘シーンのあげく、めでたく正義は勝つのだった。

 37年前、カトマンドゥで見たインド映画を思い出す。それは「ラーマヤーナ」だったんだけど、インド映画の美意識はちっとも変わってないなと逆に感心。つまり特殊効果の技術は比べものにならないくらい進化したけど、それを使って描き出す世界は同じ。そして美男美女はやはりやや太め。戦闘美女の活躍も、インド神話のドゥルガーとか見ていたら当然っぽいしね。「ワンダー・ウーマン」は、強くても乙女よッ、という描き方だったけど、こちらの戦う女は姑にも正論で戦うし、痴漢の指を無言で切り落とすメンタルの強さが際立って、むしろこっちの方がフェミニズムだよ。

 キャラとしてはカッタッパが好き。はげ頭に立派な口髭のおっさん無双戦士。身分は奴隷なので主の命令には逆らえず、我が子のように愛したアマレンドラを手にかける。このあたりの展開は歌舞伎の忠義と孝のせめぎ合いを思わせるけれど、底に情愛が流れている分、感情移入しやすい。

 

 この映画、お行儀良く黙って見てるより、拍手にかけ声に足踏みなんかで大騒ぎしながら盛り上がった方が、ずっと楽しいんじゃないかしらね。「マッドマックス」みたいにさ。予定調和の勧善懲悪、とても気持ちがいいです。 

2018.01.18

 もっと晴れるかと思ったら、水分で空がもやっている。陽射しもちょっと弱いが、外に出ると暖かいんだろうな。ヴィクトリアの4は146ページ、ボリューム的に半分くらいか。ミイラ関係の本にドロナワ的に目を通しながら、アダム・スタイルの図書室の棚にミイラ、という変なシーンを進行中。ついでに地球の歩き方のエジプト編を借りてきたので、ぱらぱら。エジプト、けっこう食べ物は美味しそうに見える。しかし数百年来の観光地で、外国人からなんだかんだってむしってきたんだろうから、リーズナブルな旅をするのは難しいだろうなあ。ピラミッドを見てみたい気持ちはゼロではないけど、きっと悪質駱駝引きとか、うろうろわさわさたかってきて、おちおち古代の感慨になってひたってられないんだろうな。昔、タージ・マハールに行った時のことを思い出す。青空の下にたたずむ純白のタージは確かに美しかったけど、物売りがうるさくてねえ、もう耐えられんのよ。

 

 芸術新潮の1月号は「世にも奇妙な贋作事件簿 21世紀ブラック・レポート」特集。買ってみて、新しいトピックもあるけれど、総じて似たような事例でさほど面白くはなかった。イエスの兄弟の骨箱とか、記憶に新しいのはあったけど。それから、レンブラントとか、カラバッジオとか、クラナッハとか、あのへんも真贋揺れてはっきりしないものがたくさんあって、これまでは問題なく真作とされていたのが外されたり、その逆もありで、少し古い美術書を見ると最新の成果との差異が多そう。

 でもこの号を買ってしまった理由のひとつは、レオナルドの真筆とされた「サルバトール・ムンディ」のカラーが1ページ大で載っていたから。アブダビに500億円で買われたというやつ。これは、なんか本物っぽく見える。かなり見える。レオナルドの人物画は普通、4分の3正面像といわれる少し斜め構図で、モナリザなんかのね、こちらは真正面像なので見慣れない気がするんだけど、神聖な像は正面から描く、という考え方があったのね。4分の3正面は自然で人間ぽい。レオナルドは聖母子は複数描いていて、こちらはいずれも4分の3。聖母は神様ではないから。で、たぶんレオナルドの正面像はこれまで知られてないと思った。

 デューラーの自画像は、自分を神に擬した不遜な絵といわれる場合があるけど、これも髭と長髪だけでなく、真正面像であるからというのがその理由だと思う。そして今回のサルバトール・ムンディとデューラーの自画像、なんだか似て見える。どっちも長髪に髭で真正面向き。もっともピントがびちびちに合ったデューラーに対して、レオナルドはスフマートでぼおっとしていて、神様というより少し亡霊っぽい。

 同じページにもう一枚、「美しき姫君」と呼ばれる横顔の絵、これも比較的近年出現して、レオナルドの真筆だという呼び声も高いんだけど、これはどうかな、とちょっと思う。なんか、きれいすぎるのね。つまり、現代人にとって美貌過ぎる気がする。贋作というのは、妙にその模倣すべき時代ではなく、実際に描かれた時代の嗜好にすり寄ってしまうものだという。これもそんな気がするのだよ。いや、自分、なんでも鑑定団でもちっとも当たりませんけど。

2018.01.17

 朝から天気が悪いと、どうもいまいち気分がアップしない。実はひとつ気がかりなことがあって、友人に「第九軍団の鷲」のDVDを貸すと約束したのがなぜか雲隠れ。原作本とパンフも見当たらないので、セットで隠れてる。他の友人に貸して、返してもらった記憶はかすかにあるのだが、そのとき変な場所に置いてそれきりになっているのだと思うが、見つからないのだ。こういう捜し物に費やすエネルギー、かなり無駄だし自己嫌悪。で、これが探すのを止めてアマゾンでもう一度購入したりすると、忽然と見つかるというのが、これまでのジンクスなんだね。

 

 少しはいいことも書こう。正月の黒豆の残りを、準強力粉に全粒粉3割の生地にまぜて焼いた、カンパーニュがなかなか美味しくできて満足。昔から煮豆は嫌い、ナッツは好きだったのだが、考えてみれば同じようなもの。煮豆も母親の甘すぎる味付けが嫌いなので、自分好みに薄味で煮ればちゃんと美味しいのだった。母の味の刷り込みというの、うちにはほぼないな。悪いけど、好きなのは自分が作ったか、自分が外で見つけた美味しいものだよ、亡きかあちゃん。いわゆる「お袋の味」というのも、幻想だと思う今日この頃。

 

 昨日はあれから図書館に行って、「ミイラ」とつく本をまとめて借りてきた。創元社の双書知の発見シリーズに「ミイラの謎」というのがあって、ほうほう、と開いたらいきなりミイラの顔のアップがずらずら続いて、かなりめげたけど、いま飯能市立図書館の棚からはミイラ関係が払底しています。

2018.01.16

 今日も暖かいそうだが、マンションの中だとそうも感じない。用事はないのだが、少し散歩くらいしてくるべきか。明日は雨になるらしいし。

 午前中はロンドンに行った時大英博物館で催されていたエジプト・ミイラの特別展の図録を出して、そこの解説を少し翻訳していた。ボキャブラリはもう逐一辞書を引くしかないが、構文はそんな複雑ではない文章なので、こういうときはワープロで訳しながら進めると楽だと気がついた。つまり英語と日本語は語順が違うけど、**は、**した、というのを先に辞書を引いてわかったらそのままワープロで書いてしまい、後から補語や目的語の文節を書き足して、その時点で語順を入れ替える。頭の中でこれをやって、1センテンスを完成してから書くのはけっこう大変だが、辞書を引いた端から日本語にしていけば、その大変さが少し減る。

 なんでそんなものを訳しているかというと、いま書いているヴィクトリア4で、エジプト帰りのレディ・トラベラーとミイラが出てくるのだが、この前読んでいたハヤカワ文庫の「英国パラソル奇譚」という改編歴史物シリーズで、なんの説明もなく「ミイラ解包パーティ」ということばが出てくる。いまロンドンでとても流行っている、とか。なんじゃそりゃ。話の流れで、要するにエジプトから持ち出してきたミイラの包帯をぐるぐる解いて、中に巻き込まれた護符を取り出すことらしい、とはわかったんだけど、レディたちがそれを見たがって興奮したりするシーンに、いよいよ「???」となった。

 そうしたら、ロンドンから持ち帰った図録の最初のところに、ミイラの初期研究のことが載っていて、貴族のタウンハウスで「テーベから来たミイラの解包を2時半から行います」という招待状が掲載されていた。19世紀の前半には流行ったらしい、マジで。で、調査とは銘打たれていたけれど、グロい見世物の一種として、ミイラが破壊行為に晒された。そういうのは個人コレクションであり、大英博物館のミイラはそのような目には遭わされなかった、とかわざわざ書いてあるんだけどね。過去のこととはいえ、日本ではあまり知られていない話です。だけどあのトゥタンカーメンのミイラも、いま調べてみたらかなりひどい状態になっていて、それは有名なハワード・カーターの発掘調査のときの扱い方が粗かったんじゃないかともいわれている。火薬考古学(遺跡を破壊して宝探し)、略奪考古学の時代は終わっていたとはいえ、まだ荒っぽいこともしていたんじゃないかな。

 

 クリスティの再読は『ヒッコリー・ロードの殺人』。霜月ポイント星ひとつ。うーん、確かにこれはかなりいまいち。日常の謎的な始まりだけど、それはいいとして解決に意外性がない、というのが霜月さんの講評。篠田的には若者たちが暮らす学生アパートの事件というあたりで、日本の新本格青春ミステリ的な味わいを期待したかったのだが、いかんせん、クリスティは若者の書き分けが上手くない。キャラが立たないので、うろうろざわざわするたくさんの人物がすぐわからなくなって、そういう意味でつまらない。西アフリカとかトルコとか、非白人の学生もいるんだけど扱いがひどい。色物だし人間になってないので、出さないで欲しかったくらい。彼らに感情移入できないので、彼ら視点ならそれなりに不安だったり怒りだったりするだろう「些細な謎」が生きない。

 クリスティ65歳、ヒッチハイクが楽しみな若者たちに共感できなくても無理はない、かな。でも、だったら書かない方がいいよね。自分も64歳だけど、いまの高校生を書く自信、ないし。さて、ポワロものではまだ、星0.5というのが2作残っております。美味しいのは後に回して、そのへんを読み直してみようかな。いや、小説書いている途中に新作は読みにくいのですね。

2018.01.15

 昼間は3月の陽気だと天気予報はいっていたが、少なくとも昼前はひんやりしていた。午後になっても空はわりと雲があって、予想したほどは暖かく感じない。でも空の感じは春っぽく見える。

 銀座に行くと必ずゲットするのが「銀座百点」という長い伝統を持つPR誌で、しばらくご無沙汰だったのが、暮れに漬け物の若菜でバックナンバーも10月号からもらった。その号に、近代建築に興味を持つなら名前は必ず知っているウォートルス、銀座煉瓦街の設計者だが、経歴や日本を離れて以後のことなど、ほとんど知られていなかったのだが、それについての研究書が出たという話が書いてあって、そりゃ手に入れたいなと思ったのだが、そこに書かれていた教文館で手に入るというのは、出かけていったら店頭になく、おまけにドジなことに正確な書名を忘れてしまった。

 帰ってからもう一度くだんの「銀座百点」を見て、そこにもうひとつ名前の挙がっていた秦川堂書店というののサイトを見たが、やはり目に付くところにタイトルは出てこない。仕方なく問い合わせフォームにメールしたところ、本代を振り込めば送料無料で送ってくれるという。というわけで、今日送ってきた。振込先の連絡が来たのは金曜だったので。ネットバンキングを使えば週末だって振り込みはできるし、それをいやあ本なんて紙でなく電子で買えるものがほとんどになってきているが、自分は古い人間なので、本はやはり紙がいいし、振り込みは銀行のATMでガチャガチャやる方がいい。リアリティに乏しいのは苦手だ。

 

 クリスティ再読、『青列車の秘密』これも霜月ポイント星三つ。つまりいまいち。で、同意。道具立ては派手目なのだが、妙にだらだらしている。話の中心部分を取り出せばせいぜいが中編で済むものに、あれこれ衣を着せて複雑にして書き伸ばしているけど、はがせば中身はたったこれだけ、という感じ。犯人の隠し方は実はこれの前に読み返したのと同じで、ポワロの対応がまた同じようなのでバレバレになってしまう。それと殺人の動機がかなりひどい。窃盗目的で被害者を計画的に惨殺し、死体を損壊するので、クリスティには珍しくそういう意味で後味が悪い。ヒロインはクリスティお得意の自立したリスペクタブルなレディだが、彼女が長らく暮らした村の名前が「セント・メアリ・ミード」というのは、ミス・マープルの住所なんだけど、ふたつのシリーズはクロスしていないので、作者の意図のほどは不明。

2018.01.14

 マイミクK教授と、おふろの王様花小金井店でデート。日曜だからきっと混むよ、と9時に待ち合わせたらもう行列。それでもさすがに朝一の岩盤浴は誰もいなかった。前より温度の高い休憩室が広くなっていて、そこにある座椅子風クッションが、よりかかっても身体が前にずれない優れもので、だらーっとしながらヴィクトリア朝についてのトリビアをいろいろ教えていただいたりして、持つべきは興味の重なる研究者の友人だよな。

 夕方になったらえらいこと混んできて、風呂は芋洗いだったが、9時から5時まで滞在したよ。うん、これなら高くはない。今度はおいらも本持って来るかな。仕事もできちゃったりして。

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