篠田真由美お仕事日誌

2018.11.14

 昨日は芝居好きのマイミクK教授のお誘いで、明治座へ『魔界転生』を見に行く。まあ、いろいろと突っ込み処が多くて面白かったです。

 その1 日本には明治になって入ってきた「近代的劇場文化」以外の「近世的芝居小屋文化」があって、それは大衆演劇から歌舞伎まで脈々と受け継がれているのだなあ、という実感。早い話が飲み食い自由の祝祭感横溢する世界なのよね。

 

 その2 いまの若い子たちって、ほんとに脚が長くて顔が小さくて、格好良いけど着物似合わない。殺陣もがんばってるけどいまいち感で、実は開幕早々思ったことといったら「新感線の殺陣のすばらしさを逆に痛感する」というあたり。さすがに松平健さんは殺陣も様になってるけど。顔の大きさが大きいったら・・・

 

 その3 山風作品は映画とかにするとどうも成功しない。キングの映画化があらかた失敗するのと同様、どうにもあかんのだよね、これが。文字で読むと無残な殺しも耐えられなくはないけれど、絵にされると酸鼻にすぎるか、荒唐無稽さが際立って失笑してしまうか。今回もその通弊は免れなかった。

 

 その4 これまでの映画化同様、主人公が天草四郎になっている。原作だと四郎は中盤で殺される、敵の中でも小物なんだけどね。それは別に良いんだけど、四郎を魔界衆にしたラスボスが先に消えてしまって、四郎だけが他の連中を引き連れる形になっていて、今度は原作で一番恐ろしい武蔵が軽くなってしまった。原作では、今生の無念を強烈に引きずって魔物となった者が、かつての禁欲を反転させて性と殺戮のケダモノ化していくのに、武蔵は変わらない。ただ「腕を認められて仕官したい」という望みだけが、ますます肥大化して、魔物となった自分が公儀に抱えられることなどあり得ない、という事実が認識できない。その悲しさ、恐ろしさみたいなものがひとつの読ませ処なんだけどね。舞台でそういうのを表現するのは無理だし、次々と山が来ては克服していく長編小説と、一定の枠の中でクライマックスからラストまでをまとめねばならない舞台の差でもあるだろう。

 ただね、四郎が「エロイムエッサイム」って、あなたは水木しげるの悪魔くんですか。

 

 その5 殺陣は主演クラスはさすがに頑張ってるけど、四郎役の役者さんがダメでした。しかも四郎は西洋的直剣を持っているので、日本刀の殺陣とは違わなきゃならないのに、その辺も適当すぎて残念。宙づりも「ご苦労様」としかいえないし。他にも浅野ゆう子の淀君は、もったいぶって出てきたらあっさり死んじゃうとか、気の触れたるろうに剣心みたいなあのキャラはなにとか、魔剣を打つ刀鍛冶なんていうと、つい「ガンテツ斎?」とまた新感線病が出ちゃうとか、とかとかとか。

 

 その6 柳生十兵衛をやった上川隆也、この人は原作の十兵衛の性格、諦念を超えた明るさや悲しみのようなものまで感じさせました。声も良かった。役者は顔より声が大事。容姿はメイクでかなりカバーできるもんね。でも、かりにもキリスト教徒の四郎に「成仏しろ」はねえべや。せめて「ハライソに行けよ」くらいいってやれ。

 

 その7 カーテンコールは全員のダンスで、まあいきなり明るいこと明るいこと。君たちはやっぱり、殺陣よりダンスが似合うねえって感じ。上川さんは肉声の挨拶で噛みまくってご愛敬だし、この客席と舞台との近さはほとんど篠原演芸場を思わせ、ああ、これこそ芸術なんかじゃない、大衆娯楽の王道よね、と深く深く感得したのであります。

2018.11.13

 生まれて初めて「明治座」というところに行って芝居を見てきた。感想は明日書きます。山風があの世からよみがえってちゃぶ台を蹴飛ばしそうな『魔界転生』だけど、つまんなくはなかったっす。

2018.11.12

 昨日はまた寝そびれた。寝る前に小説読むと寝そびれる危険が増す気がする。

 明け方、ベネディクト・カンバーバッチが変顔でおどけてる変な夢を見た。シャーロックじゃないのにくるくるヘアで、道化みたいなつんとふたつとんがったところのある頭巾をかぶっておりましたな。

 今朝は昨日書き終えた原稿の部分を読み直し、手直し。

 

読了本『ホイッパーウィル川の伝説』 あすなろ書房 中学校の課題図書だそうで、するするっと読んでしまうがあまり大した作品ではない。アメリカ合衆国北部の森近くの村に暮らす一家、ヒロインは鉱物マニアで1歳上の姉はスプリンター。母親が心臓麻痺で急死した後の寂しさを抱えながら仲良く暮らす一家だったが、雪の朝、姉は大地の裂け目のような場所に落ちたのか、姿を消して遺体すら見つからない。同じ頃、森の巣穴でキツネの子が三匹生まれるが・・・

人間パートはリアリズムだが、キツネパートはにわかに幻想と神話の色合いを帯び、人間パートでの理不尽な死と喪失が、キツネパートで補償されるという、人間にとって非常に都合の良い物語構造。「家族愛」とか「絆」とか「自然による癒やし」とか、妙に聞き覚えのあることばがべたべたひっついてきそう。映画にして、自然の映像美あたりで押していけば、それらしい作品にはなりそうな気がする。「3度泣けます」とかね。

2018.11.11

 昨日はたくさん歩いたので、今日は一日お籠もりお仕事。205ページで一応章の切れ目。11月に入ってから、ノベルス2段組で67ページ書いたから、まあわりと頑張ったっしょ。しかしまあ、全体とすれば半分だよ。

 

 昨日のムーミンランドの話。

 宮沢湖というのは昭和初期に出来たという人工湖で、昔はどうせ灌漑用とかだったんだろうが、後には遊園地が出来てぼしゃって、ほそぼそと釣り堀なんかが営業しているだけの、はっきりいってあんまりきれいではない荒れた土地でした。自分は近場に仕事場を持ってから、付近をハイキングするようになり、山越えして湖畔に出るルートも何度も歩いたが、途中道が無くなるような状況だった。それから覚えている人もいると思うが、ここらは30年前ある連続殺人事件の遺体遺棄現場になったりもした。つまり一部では心霊スポット呼ばわりされているような、怪しいというよりぱっとしない田舎だったわけ。

 そこが、さすがに面目を一新していましたね。有料の「ムーミン世界の建物」が建つエリアは、来年3月の開業なので、湖畔の三分の一程度を使った、レストランとショップ、野外フードコート、催事スペースなどがプレ開業し、昨日あたり汗ばむような陽気で、人もずいぶん出てました。いくらか湖畔の紅葉も始まっていて、たかが小さな人工湖でもそれなりのたたずまい。湖に向かって無料の椅子がたくさん並べられているし、シートを広げてピクニックにするスペースもある。思った以上に良い感じの風景が広がっていた。

 ただ、かなり広いレストランやフードコートは、土曜の昼1時半くらいでどこも大行列。スタッフも新規採用の人ばかりらしくて、全然慣れてないからあちこちで混乱。さばき方が下手だなあ。これから慣れていきますといっても、遠来のお客に初対面でマイナスの印象が残る危険性なしとはいえず。そしていまどきのお店なので、どこもお値段はかなり。ショップもちゃんと北欧から輸入したグッズとか、日本でも名前の知られたブランド、イッタラとかマリメッコとかロイヤルコペンハーゲンとかなので、デザインはかわいいけど値段は可愛くない。毛糸のゴム編み帽子に1万円といわれて、ほい、と買うかってちょっと無理。駐車場も、ネットで予約して一日2500円。有料エリアはいくらになるのか。熱心に待っているファン(なのかな? 公式じゃないって名乗ってる)のブログでも予想入場料2000〜3000円って、1度行くのがせいぜいだって気がします。

 自分飯能市民なんで、ここには飯能市も出資してるんだから、市民には割引券くらいくれてもいいんじゃね? なんて、虫の良いこと考えちゃいましたよ。

2018.11.10

 昨日の予定が順延になったので、午前中ジムに行った後、宮沢湖のムーミンランド、無料エリアのオープンに行ってきた。しかし今日はちょいと疲れたので、報告は明日にします。仕事もお休み。

2018.11.09

 本日ムーミンランド、メッツァの無料商業スペースがオープンというので、行く予定でったが、いきなり雨もよいだったので明日に予定変更。仕事して、途中図書館込みでお散歩。いつも読んでるブログの人が「ケイト・モートンの『湖畔荘』は良かったよ」と書いていたので、調べたら飯能の図書館に入っていたのでさっと借り出し。自分はこの人の『忘れられた花園』と『秘密』はどちらも読んでるんだけど、なんかいまいち。プロットは凝ってて「ほう」とは思うのだが、凝り過ぎというか。同じモダン・ゴシック調でいうなら、サラ・ウォーターズの方がずっと重さ深さすごみがあると思う。でもま図書館にあったら借りて読む。新刊としては買わない。だって1冊1900円+税でソフトカバーの上下巻だよ。高いってば。

 

 原稿はやっと200ページに達したけど、3章というか、1と2の後の間章なんだけど、は終わらなかった。

2018.11.08

 お天気、朝はまっくらな曇り空だったが、後から陽が射してきたら暑い。今日もギンナン拾いに。ビニール袋と使い捨て手袋で万全の準備をしていったが、そんなに落ちてなかった。梢を見てもあんまり目に付かないところを見ると、今年は生り年じゃないのかな。昔は家の近所の神社でギンナンがたくさんなって、それを拾いにくる年寄り間の競争が熾烈で、うっかり気まぐれに拾いにいったりすると怒られそうなくらいだったけど、最近の人は本当に拾わないんだね。栄養価も高いんだぜっ。

 

 昨日はなぜか入眠に失敗して転々。おまけに朝のお通じがあかん。原稿のしすぎか。でもやっと191ページ。13日は友人と観劇で、次の週は旅行。文庫下ろしのアンソロのゲラもやらないとならないんで、やっぱり油断大敵なんですよ〜

2018.11.07

 原稿は180ページに接近中。吸血鬼の出てくる小説はずいぶん書いたが、案外それそのもの、血を吸うシーンの描写は書いてこなかった。というのは、まさしくエロいから。しかしたぶんそういうのを書くのもこれが最後の機会だにゃ、と思ったので、というか、書いてます。一人称が一番筆は進むんだなああ。

 

 雨が止んだので散歩。ミクシでマイミクK教授が児童文学の話題を取り上げていて、課題図書というやつだがいまいちらしく、だけど心清いジュニアならぬ邪悪なシニアとしては、つっこみどころのある方が興味が湧く。というわけで、飯能の子ども図書館にくだんの本を借りに行き、飯能河原に出るとギンナンが実ってて、しまった、袋がない。

 でも断固として拾ってきた、10数個。食べられるものを粗末にしてはなりませぬ。

2018.11.06

 朝から雨だけど、意外と寒くないというか、むあっとしてる。でも外がそんな感じで、マンションの中は冷えてきてる感じ。

 

 今日はそういうわけでお仕事。さすがに雨では散歩でけんし。やっと170ページ超え。我ながらのろい。なんかとてものろいです。しかしいまは吸血鬼の吸血鬼らしいシーンを書いておりまして、エロいんでちょいと照れる〜

2018.11.05

 今日はツレの搬出なので、夕飯を作るよということに。毎日新聞おかん飯の今日の記事で行こう。後はだらだら原稿。160ページ超え。お天気は雨から曇ったり日が出たりで、なんかもやっとしてる。しばらく秋晴れはお預けだそうなので、散歩は我慢してせっせと仕事しよう。今週は金曜日、宮沢湖のムーミンランドがプレオープンで、無料のレストランやショップなどのエリアが開く。ツレの知り合いさんたちが屋外のテントで催事になるので、見物がてらご挨拶に行く予定。

 

 マンガ『憂国のモリアーティ』の7が出て、切り裂きジャック編だというので期待していたのだが、前回のアイリーン・アドラー編に続いてこっちも「陰謀論」で、ジャックの殺人はイーストエンドの治安を悪化させ、貧民と警察権力の対立を煽って武力革命に繋げようという革命家の策動で、それを阻止しようとするモリアーティ一味というわけで、いよいよ彼らは悪党じゃなくなってきている。それなりに話はつまらなくないんだけど、ジャック事件のディテールが全然史実から飛び離れているし、絵柄も話の運びも健全なる少年マンガっぽくなってきて、ちょっとな〜です。ジャック事件の淫靡さが全然ない。

 一緒に「小説編」が出て、こちらはキャラに重点を置いたサイドストーリーだけど、これはさらにあかんです。ストーリーに工夫がないまま、キャラの描写だけ増やしても、ファンには受けないと思う。もともと少年マンガの文法は、キャラを掘り下げるようには出来ていないんで、だからこそ出来た隙間にファンの妄想が湧くの。モリアーティ兄弟の間の愛と忠誠とか、男気あふれるモラン大佐のかっこよさは、本編で十分描かれてるんだからそれでいい。シャーロックとジョンの話も、先が見えすぎてふたりがお利口に見えないのでだめだめです。

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