篠田真由美お仕事日誌

お願い

 本日。5/25に新宿伊勢丹本店で篠田のサイン本をお買い求めくださり、おたよりとプレゼントをいただいたイニシャルMM様、お礼状を差し上げたいのですがお便りに住所が書かれていませんでした。お手数ですが講談社タイガ編集部気付にて、はがきの1枚なりといただけませんでしょうか。このブログが目に触れましたら、どうぞよろしくお願いします。

2018.05.25

 新宿伊勢丹のミステリ・イベントで売られるサイン本を作りに行った。デパートなんてそもそも行かないし、新宿の伊勢丹、いったい何年ぶりか見当も付かない。担当に一階の受付で待っていてもらって良かった。看板とか出てるわけじゃないし、7階に受付があり、そこで問題用紙かなにかもらって、デパートの中をあちこち歩いて、パネルに出ているものを読んだり、ヒントカードをもらったり、クイズに答えて次のステップに進んだりということをするらしいが、参加はしなかったので詳しいことはわかりません。自分、もともとこういうお洒落な店内を回遊する趣味はないので(アジアの市場とかなら喜んで、だけど)、それだけで疲れ果てそうな気がする。ご興味がおありの方はどうぞお出かけください。

 6階でサインを済ませていたら、ブログをチェックしてくださっているらしき読者さんがいらして、ちょっとおしゃべりしたりプレゼントを頂戴したり。そうしたらなんとなんと、イラストレーターのTHORES 柴本さんがご来場。結局そのままお茶を飲みに行って、しばらくおしゃべりしてしまった。彼女と話していると、ああ、この方のイラスト入りで小説本が出せたらなあ、などとため息が出てしまう。ヴィクトリア朝ものとかやってられそうな気がしたんだけど、意外や、やられたことがないという。いえね、トレスさんの絵で男装のミス・シレーヌなんか見られたら至福だなあって。本当をいえば皆川先生が岡田嘉夫画伯とやられたような、小説とイラストのコラボ、そんなのが理想だけど、そうまでではなくとも、トレスさんが描くヴィクトリアンなロンドンの闇とか、ぞくぞくしませんか。切り裂きジャックですよ。トップハットの下の白い顔ですよ。

 はっきりいってレディ・ヴィクトリアのラストで切り裂きジャックをやるために、伏線はとっくに張ってあったの。リッパロロジストが読めば、あっ、この作者は先行ってジャックをやる気なんだな、とわかる、すごくあからさまな伏線なの。版元の編集者はどなたもそれに気づいてないの。悔しいから教えないよ。5巻が終わっても、もう5巻分のネタはあるんだから。その最後が切り裂きジャックで、謎のミス・シレーヌは姿を消して、エピローグはさらに13年後、偉大なる女王が崩御して時代が変貌するそこです。こんなことを書いてると、なんだか書きたい気、書ける気がしてくるけどね。

 いえ、その前に『黎明の書』の最終巻はどうなったんだというわけで、トレスさんの顔を見ると真っ先に「すいません」と頭を下げてしまう篠田、書いたとして出してもらえる目はあるのかどうか、担当(もはや元担当かな)に確認するのも怖くて、実はそのまま放置しているという情けないお話。でもトレスさんと、吉田直さんとトリニティ・ブラッドの話なんか久しぶりにしていて、道半ばで倒れた好漢の無念を思うと、自分は生きてるのに物語を自分の都合で放り出すなんて、いけないことだよなあと反省する気分になってきた。そんなわけで、もしもこの先最終巻が出なかったら、それは徳間が「出せません」といったせいだからね、と予防線を張るのだった。全然冗談じゃないから困るんだけどさ。

2018.05.24

 昨日は寒くてビックリ。帰りにはTシャツに薄手のセーター、さらにブルゾンを引っかけて帰り、オイルヒーターをつけたくらい。今日は予報では夏日、それも29度とかいっていたが、空にわりと雲が多いのでそこまで気温は上がっていない気がする。ただし湿度は高くて、歩いてきたら着替えずにはいられない程度には汗を掻いた。

 

 ベランダ園芸は大したものではないが、気がつくとやたら殺しまくっている、虫を。アジャンタムの鉢を上げたら下にアリとアリの卵がうじゃっとあって、ひゃあっとなって水攻め。昨日はゴーヤにアブラムシらしきものを発見して、あわてて殺虫剤を買ってきた。虫も命といえば自分は大虐殺者、サノスかい(from アベンジャーズ)。なにか殺伐とした気分になってくるのは否めない。ゴーヤはやはりスーパーで買うより新鮮なのが食べられるので、やらぬわけにはいかないんだけど、料理は「命を有り難う」と感謝の心でいただくにしても、虫殺しはね〜

 殺しといえば、原稿で16世紀ドイツの魔女狩り、火刑のシーンを書かねばならなくて、なんか億劫でならん。あまりそういうシーンに感情移入したくないんだけどさ、話の都合上避けて通れなくて、うー、いやだなー。

 

 明日は新宿伊勢丹本館へ、ミステリイベントに売るサイン本を作りに行くので、午後から外出。ブログの更新はたぶんお休み。

2018.05.23

 皆川博子完全読本『皆川博子の辺境薔薇館』河出書房新社 2200円 がいよいよ書店配本となる。前にもここで書いたが、短いエッセイとアンケートの依頼をいただいたので、参加させてもらった。白を基調とした美しいカバー、中もさすが柳川貴代さんの作品で、電子書籍が広まる世の中に紙の本ならではの快楽を味わえる一冊です。ただし、この表紙は絶対汚しそうというわけで、あわてて元のカバーは外して別途保存とし、イタリアの包装紙でカバーをつけた。もったいなくてちびちび読むよ。だから内容については、また後日書きます。

 先生にメールでお礼を書いて、ついでにヴェネツィアと沖縄の写真をちらっとお目にかけることにする。いまどきなら写真などメールに添付して送るのが当たり前だが、悪かったね、こちらはアナログ人間だ、はがきにプリントして、つける手紙には花びらのようなピンクのハートを漉き込んだ和紙の便箋、映りの良い色合いの洋封筒に、切手も手持ちの中からできるだけ素敵な図柄のものを、封のシールは、ジョン・ワトソンだあと思って買ったかわいいハリネズミ。

 ロフトでこのシールと、やはりハリネズミの一筆箋と、それがちょうど収まる古金色の小封筒を見つけて、これはシャーロック・ファンのオフ会の時に使えるなと思って買って置いたのだが、なにせ例のS4があの始末で、オフ会も自然消滅という情けなさ。自然消滅といえば、自分は手紙を書くのが好きで、特に便箋封筒切手にシールと組み合わせを考えて、ひとつの作品のようにこしらえるのが趣味だったのだが、気がついてみればアナログな郵便などもはや消滅寸前で、情けないっちゃありゃしない。

 

読了本 『万能鑑定士Qの推理劇2』 松岡圭祐 角川文庫 この作家の『シャーロック・ホームズVS伊藤博文』が面白かったので、その後図書館であれこれ借りて読んでみて、特にこのシリーズは読み味がいいなと楽しんできたが、この1冊はちょっとねえ、だった。まず、コナン・ドイルの未発表ホームズもの原稿が競売にかけられることになって、というのが発端だが、その原稿が羊皮紙に書かれているというのにつまづいた。書かないでしょ、原稿を羊皮紙に。書きにくいじゃん、そもそも。19世紀末の原稿を「古文書」と呼んでるのも変だし、第一ドイルの原稿は他にも残っているのに、筆跡鑑定の話が一言も出ないのは異様。これまでほとんどそういう「変」は感じなかったから楽しめたんだけどなあ。どこかの巻で出てきたカトリック教徒、というのは正しい表現ではないんだけど(キリスト教徒とはいう。カトリックはカトリックで教徒はつかない)、つい先日も新聞に平気で「カトリック教徒」って書いてあったしね。

2018.05.22

 疲れが完全に取れたわけではないが、一応原稿書きに復帰。角川ホラーの2作目、電子オンリーになってしまうのだろうが、それをちまちまと書き進める。それから夜光貝磨きを少し進行。実は飯能ものづくりフェアで、今回初めて参加した作り手さんで、夜光貝や白蝶貝の殻を磨いて作ったアクセサリを売っている方がいて、そこには品物だけでなく原料の貝も飾られていて、なんだか偶然が嬉しくなっていろいろお話をさせてもらった。

 夜光貝のアクセサリというのは、沖縄に行った時国際通りの一本裏に小さな店があって、帰ってからサイトも見ていたのだが、正直な話デザインとしてあまり惹かれるところはなかった。淡い虹色の光のある真珠層までを磨き出して、それを切ってキーホルダーやペンダントトップにしているのだが、わりと単純なもので、欲しいかといったらまあいいか、という感じだったのだ。ところがこちらに出展していた「三十や」さんは、ひとつひとつ手製の鑿で彫り出したもので、とても繊細。夜光貝はクリームがかった地色に虹っぽい光が射し、白蝶貝は純白に銀ぽい光、オーストラリアのアワビの内側はピーコックグリーンを基調に、濃い藍色やピンクが交錯する。これを使ったピアスなどだと2000円代から買える。というわけで、ツレからもらう店番のアルバイト代以上に、散財しちまった篠田でありました。

 

読了本『福家警部補の考察』 大倉崇裕 東京創元社 和製コロンボ 福家警部補のシリーズ物。倒叙形式というのは、立て続けに読むのはちょいとしんどいと思う。

2018.05.21

 イベントの売り子手伝いが終わって、真っ白に燃え尽きたとまではいわないが、かなり疲労残りで、仕事場でうだうだしている。真ん中の土曜日にかなりの雨が降った去年と比べては、まずまずの天候で、人出はかなりあった気もするが、売り上げはあんまり大したことなかったような。

 木工品もそうは売れません。特に高いものは売れません。風来舎のロウスツールが22000円で、木のスツールというだけなら一桁安いものだっていくらでも売ってます。無論同じではありません。釘を1本も使わずに木組みで作り上げた胡桃材のスツールと、足を木ねじで止めてペンキを塗ったスツール。どっちも座れます。そういう意味では「同じだ」といえなくもない。でも、そういうことに無神経な人は嫌です。

 自分も100円ショップで文房具を買います。クリアファイルのポケットが薄くて、すぐ切れそう。でも出し入れをしないで、一度納めたらそのままでokという場合なら、十分過ぎるほど使うことは出来る。しかしノートは100均では買いません。表紙のデザインや紙質や罫線の色に、好みのものを使いたいと思うから。ベランダでプランタの水やりに使うバケツは100均。バケツにこだわりはないから。食品は買わない。口に入れるものはちゃんと選びたいから。100均商品も含めて是々非々で選ぶ。その選択の幅こそ、なんとも贅沢な話ですが、自分が「高くてもこれは選びたい」と思うものは妥協したくない。

 安ければ良いとは思わない。でも、安くてもいいものはあります。高ければいいものと思うのも間違いです。風来舎の一輪挿しは1000円からです。その小さな一輪挿し、どれも一点物でひとつとして同じ品がないのですが、一生懸命どれがいいか、悩んで選んでくれた若いご夫婦がいました。花屋で買わなくても、道ばたに咲いているのを摘んで飾るとすてきですよ、どういう場所に飾るかイメージして、大きさや材質、塗りと色を選んでくださいね、と話しました。やたらお金はなくとも、住まいの彩りに、そうして路傍で摘んだ花を飾ろうと思う、心の余裕は忘れたくないものです。

 

 さて。明日からまた書き仕事に戻れればいいんですが、年々疲労回復が遅れますね。

2018.05.17

 いよいよ暑い。

 明日から三日間は飯能の中央公園でやるイベントの売り子手伝いなので、いろいろ落ち着かないのだった。

 ブログの更新がなかったら、くたばっていると思ってね。

2018.05.16

 今日はマジ暑い。図書館行って、郵便局行って、スーパー行って6000歩歩いて戻ったら汗汗。しかしマンションの中はまだ涼しい。

 

 昨日のシフォン、幸い二度目はちゃんとできた。つーか、ハンドミキサーさえあればちゃんと出来るはずだよ、シフォン。最初ちょいと失敗したことがあるが、あれはハンドミキサーで硬く泡立てた後に、普通の泡立て器でまぜて少し泡をやわらかくする、という工程を軽視したための失敗だった。これをやらないと、大きな気泡が出来たり、陥没したり、逆さにして冷ましてる時落っこちたりする。そこさえ忘れずに、後は計量をきちんとすればまずまずのものができる。ただシフォンって、クリームでも塗らない限り、見た目がいまいちなんだよねー。

 昨日の失敗シフォンは意地で食べてたけど、一晩たったらさらにアカンようになって、ごめんよーといいながら捨てる。食べ物を捨てる時の罪悪感って、親のしつけの結果で決して間違っているとは思わないが、あまり気持ちは良くないんだね。アンデルセンの、パンを踏んづけたばかりに沼に沈められる女の子の話とか、思い出してしまう。萩尾望都のマンガ化でありましたね。あれは特にパンだというのが、きっとキリスト教的な聖体パンとの連想をともなって、ことさら罪深さをかもしているのだろうけれど、食べ物を大切にという教えでもあるっしょ。それに米は精米したら炊いて食べられるが、小麦は粉にひいた上にさらに加工しないとパンにならない。たくさんの手間がかかっているのだった。

2018.05.15

 昨日はアミの会アンソロジー『怪を編む』光文社文庫 の、読者プレゼント用サイン色紙を作るので、お茶会しましょうというわけで、ものすごーくひさしぶりに表参道に行く。行き方を調べて、副都心線の明治神宮前から、千代田線に乗り継がないでも歩いてさほど遠くないというわけで、歩いたが平日の月曜の真っ昼間、なんでこんなに人が多いの、わあもうダメ、息も絶え絶え。お天気は良かったので、オープンカフェでのお茶会は楽しく、異形コレクションでお世話になった井上雅彦さんとはお久しぶり。書き手でも初対面の方もいらして、楽しい時間を過ごす。

 しかし、やはり外に出て人と会うと翌日は疲れが残るというわけで、ツレからリクエストのあった紅茶のシフォンを作ったところが、久しぶりだったので手順を完全に忘れているだけで無く、ちゃんと計量して置いてあった砂糖をメレンゲに混ぜるのを失念。オーブンの中ではそれなりに膨らんだが、冷めたらすっかりしぼんでしまい、悔しいから昼飯代わりに食べてるけど、いうまでもなく美味しくない。怒りのリベンジはいまオーブンの中でくるくるしてるが、さらに疲れました。自業自得ってやつね。

2018.05.14

 今日は午後から外出予定なので、予報が外れて雨が上がってくれて良かった。長い傘を持つと、これがすごく邪魔でそれだけでおっくうになってしまうのだ。

 

読了本『乗客ナンバー23の消失』 セバスチャン・フィツェック 文藝春秋 ダ・ヴィンチの書評欄に載っていて、面白そうかなと最寄り図書館に検索したら貸し出し中。でも予約は入ってなかったので、数日でゲット。ドイツ人作家のサスペンスで、5年前、豪華客船の中で妻が息子と無理心中して死体も上がらなかった、以来プライベートは廃人同然のFBI捜査官のところに、同じ客船で2ヶ月前にやはり母と娘が失踪し、ところがその娘だけが船内で見つかった、しかもその子は彼の息子のテディベアを持っていた、という奇怪な事態を知らせる電話がかかり、彼はすべてを放り出して駆けつける、というところから始まる。

 つまらなくはなかったが、出てくる事件がいちいちエグイ。後の展開に直接関わらない、主人公初登場の場面からして、おとり捜査官の彼が犯人側の人間に化けて、ある性的パーティに潜入するという設定なのだが、それがロウティーンの少年をHIV陽性の男にレイプさせて、その場面をみんなで眺めるという、こう書くだけで胸が悪くなるような話で、さすがに直接描写は出てこないが、どぎつい設定で読者を惹こうとするスケベ根性が透けて見えて、はっきりいって退く。だがその先でも、豪華客船で起きている奇妙な失踪事件の背後に、児童虐待がひそんでいたことがわかってくる。

 児童虐待、それも肉親からの性的虐待というのは、絶対赦せない悪だと誰もが認めるだろうから、それに物語を牽引させれば強烈な引きになるというのはわかるけど、読む方は次第にゲンナリというか、そういうものをエンタメの素材にしている作品と作者に対する嫌悪感が、作中の悪者に対する怒りや処罰感情より強くなってしまって、読書が楽しくない。自分に向かなかったというだけかもしれないが、たとえばキングのホラーにどれだけ酸鼻な状況が出てきても、こういう感じにはなりにくいと思う。上手く分析できないが、それはやっぱり小説の上手い下手のような気がするのだ。

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